Book:高校生からの法学入門
今年読んだ30冊目は中大法学部の先生たちが作った高校生からの法学入門。
高校生のための法学入門ということで、目次を見たらとてもわかりやすそうな、興味を引きそうな内容であったので買ってみた。
家に帰ってざっと読んだが、執筆者の個性により様々な内容とレベルであった。
高校生にとって、興味を引き、問題としての身近さを実感でき、かつ法学的思考や民主的な決め方に馴染めるようなものが良いと思うのだか、私の個人的な感覚では商法・会社法に関する「なんでお母さんが株式会社の会議に出るの?」という章がピカイチのように思えた。
これに対して、冒頭の「何のために『法』はあるの?」をざっと読むと、これが最初に出会う内容なのだが、法学が難しいという印象が植え付けられるような感じで、ちょっとあれっと言う気分になった。事柄の性質上、極めて抽象的だし、幾つか出てくる具体例も、それがその文脈でどうして出てくるのかは、良く言えば謎めいている。読んだだけで伝わるのかはちょっと疑問である。
他方、「いじめを軽く見るな!」と題する第6章は、具体性が強く、それが法的思考としてどう遡るかというところがよく分からないので、その点がやや不満である。
この種の本にはとかくないものねだりが先に立ってしまって、じゃあお前が書いてみろと言われると一言もないのだが、ともあれ高校生に法(学)教育が必要であることは徐々に浸透している。そしてそのための教材と教育方法には、これまで実務家を中心とする貢献が目立っていたが、理論家のみのチームによる貢献として注目に値する本である。
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