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2017/03/04

lawyer:日弁連臨時総会での委任状の無断修正

委任状3通、了承なく変更=日弁連総会で、「事務的ミス」

昨日の日弁連臨時総会は、ニュースでも取り上げられたように、成年後見人となった弁護士の横領事件に備えて、弁護士会が被害者に見舞金を出す制度を創設することが決議事項であった。
しかし、これ自体には極めて異論が強く、本来は横領をした当人が負担すべきで、多少膨らませても成年後見人となった弁護士たちが強制保険のようなものを立ち上げて被害弁償をするのであればともかく、一般会員の拠出する会費から被害補填の一部を負担するのは筋が通らないとの反論があった。

それで、反対する会員が総会に出席できる反対会員に委任状を出したわけだ。

Avocatsmagistrats

ところが、その反対会員が提出した18通の委任状のうち、3通の委任状について、受任者の欄が東京弁護士会の事務方によって別の会員に書き換えられ、東京弁護士会会長の職印が訂正印として押されていたというのである。
この過程は、書き換えられた委任者の一人と受任者とがフェイスブック友達であり、18人の委任を受けたはずなのに15個の議決権しかないことに気がついた受任者が委任状を調査し、上記の訂正がされていることを確認し、写真にとってFBにアップ、勝手に書き換えられた委任者が怒り心頭、という経過を目のあたりにすることができた。

委任状の受任者の欄を、委任者も受任者も知らないうちに、会議の実施主体側(*)が書き換えてしまうということは、委任状というシステムからしてありえない事態であり、偽造・変造の犯罪にならないかと思われるところであるが、上記の通り、堂々と弁護士会長の職印を押しており、隠そうとした形跡は全く見当たらない。これは一体どういうことだろうか?

(*)この点につき、補足のご指摘を受けたが、日弁連の総会の委任状は単位会が認証するということで、会議主宰者である日弁連とは別の存在である東京弁護士会の操作ということになる。とはいえ、東京の弁護士会と日弁連執行部との関係を考えると、少なくとも今はあまり事態に変わりがないように思う。

Twitterでもこの出来事には議論沸騰していたのだが、その中で、上記の「事務的ミス」ということを説明してくれていたものがあった。
まず、普段から執行部は会員総会に出席しない会員から委任状を集めていたが、その際、受任者の欄は空欄にするようにと要請していたようだ。というのも、適当な会員名を書かれてもその人が出席するかどうか不明だからというわけである。
普通は、議長とか会長とかを宛先にするものだが、そういうことはしていないようである。

そこで、大量の受任者欄空欄の委任状に、事務方が受任者の名前を書き入れる作業をするわけだが、その際、執行部側の会員一人を受任者として、15通とか50通とかの委任状に書き入れるというルールだったようである。一人の会員を受任者としない理由は謎だが、危険の分散ということであろうか?

普段からそのようにしているのだとすると、今回、特定の弁護士を受任者とする委任状が18通あったのを発見し、あ、これは間違えた、一人あたり15通だから、というわけで3通については別の弁護士名に受任者を書き換えるという作業をしてしまったということもありそうなことである。

受任者欄白紙の委任状を出すということも、約束手形の一部の記載を空欄にしたまま出す白地手形のようなもので、委任状を出された側が白地部分の補充権を有すると解釈ならあり得ることだし、その補充権が弁護士会に帰属するのであれば、弁護士会会長の職印をもって訂正印を押すことも筋が通る。

そういうことを恒常的にやっていたため、特定の弁護士に多数の委任が集まっているのはそういう一部であろうという思い込みがあって、几帳面に数を揃えたということであるまいか?

仮にそうだとしても、委任状の一部についてそのようなミスがあったということは、委任状の再精査を必要とする事情のように思われる。少なくとも、訂正の有無を確認し、訂正されているものに関しては委任者の意思を確認するといった措置が必要である。訂正がされた委任状の数が決議を左右する程ではないとしても、それくらいは説明責任というものであろう。

続報:日弁連「委任状改変」疑惑の顛末…「超アナログ」事務作業で起きた「恥ずかしいミス」

この記事には、委任状をどのように処理していくのかがリアルに記述されている。

この記事でも一人の会員が委任されるのは50通までということが書かれているが、そのようなルールがあるということを、別の弁護士さんから教えていただいた。

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