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2017/03/19

DVの定義

配偶者暴力防止法の定義するDV(配偶者暴力)は1条において次のように定義されている。

「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力(身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすものをいう。以下同じ。)又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動


ところが保護命令の要件となる暴力は、10条1項において、以下のような規定ぶりとなっている。

被害者(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫(被害者の生命又は身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫をいう。以下この章において同じ。)を受けた者に限る。以下この章において同じ。)が、配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては配偶者からの更なる身体に対する暴力(配偶者からの身体に対する暴力を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。第十二条第一項第二号において同じ。)により、配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては配偶者から受ける身体に対する暴力(配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた後に、被害者が離婚をし、又はその婚姻が取り消された場合にあっては、当該配偶者であった者から引き続き受ける身体に対する暴力。同号において同じ。)により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
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これでは何のことやらわからないので、適宜省略・入れ替えして、分解して示す。

配偶者からの身体に対する暴力を受けた者で、配偶者からの更なる身体に対する暴力により、その生命もしくは身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき

または

配偶者からの生命もしくは身体に対し害を加える旨を告知してする脅迫を受けた者で、配偶者から受ける身体に対する暴力により、その生命もしくは身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき

いずれも、「生命もしくは身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき」が要件となっており、「生命もしくは身体に危害を及ぼす暴力またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」という定義よりも狭い。

これに対して児童虐待の防止等に関する法律2条4号が定める「児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力」の定義は興味深い。

配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいう。

DV防止法の定義規定とほぼ同じである。原文は少し違うのだが、その点が気になる人は、直接原典を当たってほしい。
要するに、配偶者間でのモラハラとか経済的ハラスメントのようなものでも、児童虐待となりうるわけである。

条文の文言だけからは、実際の親子・夫婦の関係が割り切れるものでもないが、DVの子どもに対する悪影響は直接的な暴力がある場合に限られないということは、強調しておく必要がある。

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