Book:インターネット・「コード」・表現内容規制
今年読んだ 22冊目は、小倉一志先生のインターネット・「コード」・表現内容規制(尚学社・2017)。ご恵贈いただいたので、早速読了した。
小倉一志先生は、すでに博士論文を土台とするサイバースペースと表現の自由 (現代憲法研究)(尚学社・2007)を上梓されており、本書はその後の10年間に公表された論文・評釈等のコンピレーションとなっている。
中でも注目されるのが、札幌大学時代と現職の小樽商科大学時代に行われた全国の青少年保護条例に見るインターネット有害情報規制の総覧であり、続編は2016年と最新の内容となっている。
それによれば、インターネット表現規制を条例で行ったのは福岡県が最初であり、現在では多くが努力義務規定ではあるものの、勧告手続を備えているものもかなりある。直接的な表現規制のみならず、フィルタリングソフトの利用を促進するための規定も多くの自治体で取り入れられており、表現に関する実務家にとっても参考となるものだ。
小倉先生は、憲法学の立場から基本的に表現の自由を尊重する姿勢で問題提起をされているが、丹念で継続的な仕事ぶりは素晴らしく、今後も期待している。
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