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2017/02/22

action:弁護士が裁判官を訴える

「先生のこれからに不安覚える」 弁護士が損害賠償求め

「こんな訴訟活動をやっているようでは、先生が弁護士をやっていくことに不安を覚えますよ」-。担当していた民事訴訟の中で、水戸地裁龍ケ崎支部の裁判官に侮辱されたとして、代理人を務める千葉県弁護士会所属の弁護士が、国を相手に110万円の損害賠償を求める訴訟を水戸地裁に起こした

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これまで、弁護士相互間とか、当事者本人と弁護士との間とかで、法廷での陳述が名誉毀損などになるという訴訟はかなりあった。
むろん、当事者本人同士というのも、公刊されないものも含めればかなりの数になったことだろう。

裁判官の言動に対して国家賠償を請求した事例というのも、珍しいわけではない。むしろありふれていると言っても良いくらいだ。

珍しいとすれば、それを弁護士が提起するというところであろうか。

また、裁判官は一般に心証を披瀝することはせず、能面のような顔をして判決まではポーカー・フェイスを貫くという印象があるが、全くそうでない裁判官も数多くいるし、本人訴訟の場合はもちろん、相手が弁護士であっても、相当に率直な物言いを、しかも物理的にも上から目線で行うことが多く見られる。
少し傍聴などをしただけでも垣間見られるところだ。

例えば、裁判官の言動に国賠を提起した事案である東京地判平成27年11月30日でも、判決文でかなり率直な裁判官の発言が認定されている。この発言は争われていないが、秘密録音の成果ではないかとさえ思えるくらいだ。

一審の認定の誤りを当事者が指摘すると

「これはリップサービスなんだな。こういうことを言っているけれども,裏付けがないけれども,まあ,そうかもしれないねというようなとぼけた認定だな」

控訴審で初めて出された帳簿について

「何で一審で出さなかったの」

「あのね,私のプロの目から見るとね,いっときにダダっと作ったようなものに見えるよ。毎月毎月作っていたのではなくて」

「そりゃ,嘘だろう」

「一審判決が出てから作ったように思えるよ」

「全くでっちあげとは言わないけれど,中を見てね,こういうふうに作ったというのではないの,それならそれでそう言ってくれたほうが」

「裁判所をだまそうと思って書類作って来たってだめですよ」

「こんなもので,なんていうのかな,控訴審の判断が変わるというふうに思ってもらっては困るよ」

その他にも以下のように認定されている。

「まずね,この字がきれいすぎて,毎日毎日書いたものとは思えない。と言ったら,毎日じゃありませんと,毎月です。」

「それにしても,毎月,そろっているんだよ。この,だから,これは,普通は,毎月毎月作っていたものには見えにくいですよと」

「紙もね,きれいじゃない,ちゅう話じゃない。」

「ぜんぜん,人の手あかはないじゃん。」

ということで、裁判所の立場からすれば、率直に心証披瀝して実質に即した訴訟運営を心がけたところだと思われるが、言われた当事者は相当に頭にくることも想像に難くない。

しかし、このレベルでは悪意があるとはいえず、国賠は認められないというのが判例である。その判例を作り上げたのは、その裁判所なのではあるが。

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