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2017/01/05

arret:マンション管理組合は組合員に対して受任者として報告義務を負う

大阪高判平成28年12月9日判決全文PDF

1 権利能力なき社団たるマンション管理組合とその構成員たる各区分所有者との間のマンション管理に関する法律関係に対し,委任契約に関する民法645条(受任者の報告義務に関する規定)の類推適用が相当とされた事例。

2 上記の場合において,各区分所有者は,マンション管理規約に明文の定めがない場合であっても,民法645条に基づき,管理組合に対し,管理組合がマンション管理業務について保管している文書(会計帳簿の裏付けとなる原資料等)の閲覧及び閲覧の際の当該文書の写真撮影を請求する権利を有するとされた事例。

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委任の規定の適用ないし類推適用によるのか、またはマンション管理規約という自治規範が優先するのかという興味深い論点とともに、名簿閲覧に関してはプライバシー保護の要請により名簿閲覧請求権を定めた規約が無効となるのかという問題も提起されている。

これについて大阪高裁は、マンション管理組合が権利能力なき社団であるとしても、その固有の財産があるわけではなく、また独自の収入で管理費用を捻出しているわけでもなく、組合員の共有に属する財産の管理を行ない、管理費用も組合員が出捐していることから、「被控訴人と組合員との間には,前者を敷地及び共用部分の管理に関する受任者とし,後者をその委任者とする準委任契約が締結された場合と類似の法律関係,すなわち,民法の委任に関する規定を類推適用すべき実質がある」とした。

また個人情報保護を理由とする組合員の名簿閲覧拒絶についても、標準管理規約や一般法人法32条などで名簿閲覧請求を認めており、個人情報保護を理由とする拒絶には理由がないとした。

当然の結論ではあるが、このマンションにおける管理組合理事会と原告らとの対立状況が見えて興味深い裁判例である。

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