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2016/12/26

2016年の司法関係10大ニュースは?

日本裁判官ネットワークのページで募集されている。
全候補は上記ページで見てほしいが、ここでは10に絞りきれない候補を挙げて今年を振り返ってみたい。

(1月)
2 最高裁 結果的に暴力団への融資となった事案で,信用保証協会の信用保証有効の判断(調査義務を果たしているかが問題となった。)
(2月)
6 鞆の浦,埋立て撤回。県が申請を取下げ。景観保護をめぐる訴訟終結(広島高裁)
(3月)
☆10 最高裁 認知症患者のJR徘徊事故で家族に責任なしの判決 認知症患者の家族の監督義務について「総合判断」
☆☆☆14 大津地裁,関西電力高浜原発3,4号機運転差止めの仮処分決定


3月までは日本にいなかったので、あまり直接ニュースを見た記憶がなく、SNSとかで時間差をもって知ったものが大部分だ。14番は、かなり画期的な判断で文句なく三ツ星だが、10はどうかなぁ、結局監督義務があることはあるということになったわけだし、法的責任の有無という問題の切り取り方では限界があることを示したものと思う。

(4月)
☆☆17 最高裁 ハンセン病特別法廷について謝罪 最高裁裁判官会議が談話を発表(5月2日憲法記念日前の寺田最高裁長官の記者会見でも謝罪)
☆18 綿引万里子判事 札幌高裁長官に
(5月)
☆21 ヘイトスピーチ対策法成立(6月横浜地裁川崎支部で,ヘイトデモ差止めの仮処分申立て認容。12月大阪地裁でも同様の仮処分申立て認容)
☆22 改正刑事訴訟法など可視化法成立 録音録画の一部義務付け 司法取引の導入・通信傍受の拡大
(6月)
☆23 福岡地裁小倉支部 組幹部の裁判で声かけ事件発生(閉廷後,被告人の知人が裁判員に対し「よろしく」と声を掛けた) 裁判員4人補充裁判員1人が辞退 裁判所は裁判員裁判から除外する決定  声かけ被疑者2人は,裁判員法違反で逮捕
☆☆☆25 最高裁 司法書士の債務整理に関する受任可能範囲について限定(1件140万円以下の案件のみ。弁済額の変更により依頼者が受ける利益が140万円以下なら受任可能との司法書士会の主張を退けた。)
☆27 東京高裁判事 ツイッター投稿により東京高裁長官から口頭で厳重注意
28 熊本地裁 熊本松橋事件再審開始決定
☆☆29 名古屋高裁 GPS捜査「違法」高裁初の判決「立法的解決を」 GPS捜査事件については,10月に最高裁大法廷回付となった。

4月から6月までは、注目事件が多い。岡口判事の厳重注意事件も、かつての政治的対立の中での問題とは趣が異なるところで裁判官の言動の自由と限界が問題となった点では、政治的立場の違いを感じることなく論じやすい話かもしれない。
ハンセン病患者への偏見にとらわれて差別的取扱いをしていたことを最高裁が認めたのは大きな出来事だが、そのような場合でも裁判は有効だとするところに残念さが残る。
綿引万里子札幌高裁長官誕生は、野田愛子長官以来(下記訂正参照)の女性高裁長官ということで、序列を崩して最高裁初の裁判官出身女性判事の登場を期待させるものでもある。
(訂正)一宮なほみ現人事院総裁が、仙台高裁長官になられていました。FBでのご指摘有り難うございます。
25番の司法書士の代理権の範囲の問題は、今年の重要判例解説に取り上げられる重要判決だ。
このほか、改正刑訴法、裁判員への威迫問題、GPS問題など、刑事手続は話題に事欠かない。

(7月)
(8月)
34 大阪地裁 東住吉事件で再審無罪判決(検察が控訴権放棄で即日確定)
(9月)
☆35 保釈率 10年で倍増 最高裁のまとめで判明  2005年:12.6% 2015年:25.7%
☆36 日経調査 6月時点での企業内弁護士1707人のうち,女性が689人(40.4%)を占める。10年前に比べて642人増える。弁護士会内の女性比率は18% 。

保釈率は刑訴法改正の関係で興味深いし、企業内弁護士では女性が40%に達しているというのは、驚異的な数字である。

(10月)
☆☆40 日弁連人権大会での死刑廃止宣言と会内外でのそれへのリアクション
☆41 仙台地裁 大川小学校の津波被害児童の遺族全員に合計14億円の認容判決。被告は市と県。
☆☆☆42 最高裁 弁護士法23条の照会を回答拒否しても,弁護士会への不法行為は不成立との判決
(11月)
43 裁判官ネットの「希望の裁判所」出版。出版記念パーティも盛況
(12月)
44 最高裁 遺産相続における預貯金の扱いの変更判決(当然分割なし 遺産分割の対象に)
☆☆☆45 司法修習生へ給付制度(71期以降 13万5000円 住居給付再考3万5000円)の新設を法務省が発表(裁判所法の改正などが必要)
☆☆49 最高裁 殺人事件で訴訟能力回復可能性がないことを理由に公訴棄却

弁護士と言っても、思想的な立場はそれぞれであるから、政治的な色彩が強いテーマでの弁護士会としての発言に賛否があるのは当然だ。しかし、それが特に噴出した感があるのが40だし、弁護士の間でも死刑廃止に反対する人がたくさんいるというのは正直驚きであった。とりわけ、被害者感情のストレートな発露をそのまま口にする弁護士というのは、驚きである。
また、個人的には42番が注目だった。弁護士会が賠償請求権者となることの無理さには賛成せざるを得ないが、制裁規定をおかないことの不都合さが際立った判決だった。
45番は、司法制度改革による制度改悪が初めて正面から見直された事例として、特に特に注目に値する。

ということで、☆の数を元に、さらに絞り込んでアンケートに答えるとすれば、以下のようになる。
3点
14 大津地裁,関西電力高浜原発3,4号機運転差止め
25 最高裁 司法書士の債務整理に関する受任可能範囲
45 司法修習生へ給付制度

2点
17 最高裁 ハンセン病特別法廷について謝罪
29 名古屋高裁 GPS捜査「違法」高裁初の判決
40 日弁連人権大会での死刑廃止宣言

1点
18 綿引万里子判事 札幌高裁長官に
27 東京高裁判事 ツイッター投稿に厳重注意
49 最高裁 殺人事件で訴訟能力回復可能性がないことを理由に公訴棄却

1点は極めて絞りにくいところであった。

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