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2016/10/07

韓国民事法廷のe-filing事情

韓国の高等法院Roh判事のご招待により、ソウル高等法院にてe-filingの現状と法廷での活用ぶりを見学することができた。

同行していただいたのはRoh判事とBaek判事である。Baek判事は、東大に今年の8月まで研修をされていたということで、日本語はペラペラ。先の日韓民訴研究集会では通訳を務めて頂いた。またRoh判事も多少の日本語はおできになるが、主として英語によるコミュニケーションである。

韓国では、e-filingを規律する法律が2010年に制定されており、本格的に導入された。現在は通常の民事訴訟でも60%以上が電子的申立てによっているし、特許事件についてはほとんど100%に近い数の電子申立てがなされている。

e-filingは単に電子的に申立てをするというだけではない。申立てや主張立証のデータを電子的に管理し、スケジュール管理や判決作成につなげるケース・マネージメントを含まなければならない。

Dscf3633


今回見学したのは、高裁のChung判事の執務室と法廷である。
裁判所の内部システムに構築されたケース・マネージメントシステムは、両当事者と裁判所が発した申立て文書、主張文書、そして証拠書類が、作成提出主体別に色分けされて時間的経過にソートされて登録されている。その中には訴状のようにサイト上のフォームから入力されたものもあれば、電子データを送信したもの、そして紙媒体データをスキャンして提出されたものもあった。

証言は、録音データと反訳とが登録されており、反訳された文書を見ることもできれば、証言を音声で聞き返すこともできる。

そして法廷では、スクリーンにケースマネージメントシステムの記録が映し出され、裁判官が主張書面や証拠書面を両当事者代理人と画面で共有しながら審理を進めている。
こうしたやり方は、ほとんどの裁判官が採用している普通のやり方なのだそうである。

なお、Chung判事が裁判長を務める法廷では、当事者に最終弁論をさせるとき、3分以内と制限し、スクリーン上のカウントダウン表示をソフトで提示して弁論をさせていた。
Dscf3640

他方で、代理人は、法廷の代理人席にパソコンが用意されているのに、少なくとも私が見た限りでは、例外なく紙媒体の記録を持参し、それも20センチの束を2つ、3つともって机に広げている代理人がおり、画面上での電子記録を利用する人はいなかった。ただし、Baek判事によれば、若い弁護士の中にはタブレット端末を持って書類の参照や提示を行っている者もいるということなので、今後は弁護士の執務形態も変わるかもしれない。

ちなみに韓国では、電子的に提出されたデータをプリントアウトして、そのプリントアウトを原本として記録に閉じるというような非生産的なことは行わず、記録の原本も電子的に蓄積されるという。
ただし、裁判官室にも、また法廷の廷吏さんか書記官さんの横にも紙の記録がうず高く積み上げられていたので、紙媒体の記録が裁判所で用いられないわけではなく、またそれはそれなりに綴じられてもいたので、紙媒体記録も副本という扱いかもしれないが、使われてはいたようだ。

ちなみに、電子申し立てをすると、紙媒体での申立てに比べて10%、申立手数料が安くなるそうなのである。

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