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2016/10/16

America:トランプ候補の女性観

アメリカ大統領候補のトランプ氏が、実はとんだセクハラ親父で、女性に対する歪んだ見方の持ち主であることが明らかになりつつある。

わいせつ行為の報道続々=トランプ氏、猛反発-米大統領選

トランプ氏をめぐっては、今月に入って「スターなら、女性はさせてくれる」という過去の発言が明らかになり、共和党内で支持撤回の動きが広がった。それに追い打ちをかけるような証言が出てきたのは、9日のテレビ討論会で「実際に行動に及んだことはない」と主張したのがきっかけだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙は12日、これを否定するかのように、トランプ氏に同意なく体を触られたりキスされたりしたと語る女性2人の証言を報道。30年以上前に航空機内で胸などを触られたと訴える70代の女性は「トランプ氏はタコのようだった」などと生々しく話した。

 ピープル誌の記者は、トランプ氏の結婚記念日に合わせてインタビューに訪れた際、妊娠中のメラニア夫人が席を外した隙にトランプ氏に壁に押しつけられ、キスされたという自身の体験を記事化。フロリダ州のパーム・ビーチ・ポスト紙は、背後から尻を触られたという女性の訴えを伝えた。

 また、ニュースサイト「バズフィード」は、ミスコンテストに参加した10代の少女の着替え中にトランプ氏が更衣室を訪れた逸話を紹介した。

トランプ氏は、全面否定した上で、クリントン候補の夫の性的スキャンダルを攻撃する作戦に出ているが、率直に言ってこれは悪手だ。自分のレベルの低さに、相手の方がもっと悪いというのは、理屈から言ってもお門違いだし、有権者をうんざりさせるだけだ。自分の票を伸ばすことにはならない。

そんな選挙戦術的なことはどうでも良いが、トランプ氏の次のような発言は、火に油を注ぐようなものではなかろうか。

“無理やりキスされた”女性、トランプ氏告発会見
上の記事のピープル誌の記者の話と同じなのかどうか、記事内容からすると別の女性のようだが、似たようなことを数多くやっているようである。その中で、上記の記事の上の方で飛行機内で痴漢されたという話が出ているが、これに対するトランプ氏の「反論」がスゴイ。

「飛行機のなかでも私が痴漢をしたという人がいます。しかし、あんな女性に迫るなんてことはしませんよ。ええ、あんなのは選びませんって」(トランプ氏)

日本でも、時々こうした反論を、痴漢扱いされて悔し紛れなのか、発言してしまう人がいるが、じゃ他のタイプの女性になら痴漢するんかということになる。

さて、こうしたトランプ氏の一連のスキャンダル、噴出するきっかけは彼のいわゆるロッカールームのジョークだとされているもの。「有名人になれば、女はなんでもさせてくれる、やり放題だぜ」とか、もっと下品な発言だ。

これに対するミシェル・オバマ(ファーストレディー)のスピーチが評判を呼んでいる。

ミシェル・オバマ大統領夫人のスピーチ
これはぜひ篠田真貴子さんの翻訳を見て欲しいが、特に注目は以下。

あれは、影響力のある人間が、性的に乱暴をはたらくことを、女性にキスをし迫ることを、 おおっぴらに語ってるんです。子どもにはとても聞かせられないような言葉づかいで。

しかも、あれが単発の事象ではなさそうであることがはっきりしてきました。彼は、これまでずっと、女性をそのようにしか扱ってこなかった。私たちが知ったのは、数えきれないそうした事例のひとつに過ぎないんです。

この後、女性たちが痴漢やハラスメントにさらされてきたこと、その恐怖や嫌悪、そしてそれらを克服しようとしてきたのに2016年になっても聞かされることの腹立ちと怒りを述べた上で、以下のように言う。

あれが更衣室での日頃の会話だからと受け流すなんて、世の中のまともな男性への侮辱です。

私たちの知ってる男性は、女性にあんな態度をとりません。彼らは、娘にあんな野蛮な言葉をなげつけられたらと思うだけで気分が悪くなるような、愛情深い父親です。彼らは、女性がバカにされ軽んじられることを許さない、よき夫であり、兄弟です。

これを読んで、男性たちはどう思うか?と思わざるを得なかった。

日本だったらどうだろうか?
女性のいないロッカールームでは、トランプ的言動を許容できると思っていたり、少なくともわざわざとがめだてするまでもない、そんなの大人気ないくらいに思っていないか?
トランプの言動を見過ごすのは、普通の男性を侮辱することだと言ってくれているミッシェル・オバマの視線に私たちは耐えられるか?といえば、全然自信はない。

ミシェル・オバマ夫人のトランプ批判は、単に言葉だけに向けられたものではなく、その後に暴露されている行動も合わせてのものだが、トランプ氏の発言だけ取り上げてみても、それは根深い差別意識の現れとして批判に値する。
日本の政治家の失言とか、その他ポリティカル・コレクトネスとか、言葉の端々に現れる差別意識を批判すると、それは単なる言葉狩りだと言われる。実際、単語レベルでの咎め立てで言葉狩りとしか言いようのないものもあるし、差別意識の現れを批判していても批判された方は言葉だけを取り繕うことで凌ごうとするから、結局差別意識の問題化にも、ましてや是正にも、全くつながらない。しかしだからと言って批判を封じるのもまた、差別意識の温存になってしまう。

単なる言葉狩りにならないためには、トランプの言動を咎めるだけでは足りない。それを許容してしまう側の意識にも立ち入って見なくては。
実際、トランプ氏の言葉だけでも、あれが女性に対する子供じみた自慢話だから男たちの間で許容されがちなのかもしれないが、女性に対する姿勢以外の分野で同じようなレベルの、ティーンエージャー段階の規範意識を露呈するような発言をすれば、許容されることはない。ネットでも厨房と罵られるのがオチだ。

例えば、「偉くなれば万引きしても許されるさ、やり放題だぜ」なんてこと大っぴらに言う奴がいたらどうか?
「政治家になったら料亭に行ける」と発言して失笑を買った国会議員がいたが、まだ可愛いものだった。

昨今露わになっている東大生とか慶大生とかのサークルでの女性を人と思わないような行動、ヤリサーなる言葉があるように、けっして彼らだけの特異な出来事ではない。特にあの事件の東大生が言ったと伝えられている「女はみんなバカだから何をしてもいいと思った」的な言動には呆れ返るのだが、トランプ氏の言葉もこれと同様の女性観がある。
その女性観こそが批判の対象だし、その言葉を許容してしまう側も、単に露悪趣味のジョークだからというだけでなく、その女性観を多少なりとも共有しているが故に許容してしまうのだとすれば、その差別意識をえぐり出す必要があるのだ。

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