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2016/07/25

ポケモンGOと法的問題

世界を席巻しているらしいポケモンGOだが、弁護士さんを中心に法的な問題が議論になっている。

そんな中で、面白いなと思ったのがラブホスタッフの上野という方のブログのポケモンGoとラブホテルというエントリである。

ラブホテルは人目を忍ぶので、周辺に違法駐車している車も通報してどかすくらい気を使うのに、ポケストップとか周りにできて人だかりができたら困るではないかという、そういう話から発展して、人通りに比例して売上が違うコンビニなど、店の前の道路沿いにレアアイテムが配置されれば売上が左右されてしまう。人の動きをコントロールできてしまうではないかと、そういう話である。
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実際、こうした人が集まる効果を狙って、例えばマクドナルトは全店にポケストップを誘致して、人集めを狙っている。
そしてポケモンの道具箱にはおこうとかルアーとかがあり、人集めのためにこれらを購入して使い、店の宣伝にも役立てる例はたくさんある。

こうした、いわば正面からの商売利用は、問題が少ないとも言える。
もっとも、ポケモンGOの市場支配力の上に立って、特定の企業にのみ便宜を図るといった事態になれば、優越的地位の濫用とかの香りがしてくるが、契約自由というべきかもしれない。

法的な問題を惹起しそうなのは、ポケモンGO運営主体と無関係の企業があたかも関連性があるように装う不正競争行為とか、一般の客(つまり消費者)にポケモンGOのプレイでメリットが有ることを売り物にしつつ、実際には大したメリットがないという不当勧誘行為の餌にすることなどが考えられる。

逆に、上記のラブホテルのように、ひっそりと商売したいとか、商売でなければなおさら目立ちたくないという場合に、ポケストップだとかジムだとかを勝手に近くに配置されては困るというケースもある。
隠れ家を売り物にしたレストランが勝手に食べログに掲載されたので削除を求めるという訴訟は、このブログでも再三紹介してきた(justice:食べログへの掲載を拒む権利はないなど)が、これと同様に、勝手にポケストップに名前をのせるな、写真をのせるな、あるいは近くに設置するなという訴訟を提起することが考えられる。
ただし、そうした要求が法的に通るかどうかは別の問題で、個人のお宅というわけでもなければ、またそれが何らかの営業妨害、信用毀損、パブリシティー権侵害、はたまた不正競争行為を構成するのでなければ、載せるなという権利を認めるのは難しいであろう。

追記:なお、ポケモンGO運営会社は任意にポケストップを削除または変更する申請を受付けている。→https://support.pokemongo.nianticlabs.com/hc/ja/requests/new?ticket_form_id=341148

ゲームのアイテムは交換もできるので、これをお金でやり取りすること、すなわちReal Monney Tradeが行われることは容易に想像がつく。掲示板などではアイテムのみならずアカウントも、盛んにやり取りされている様子が伺われる。例えばhttps://rmt.club/deals/view/65154

RMTが行われるかどうか以前に、アイテムを買って強くなれるゲームは、それがスマホで行われるということであれば、高額課金問題を発生させることは必定であろう。課金の仕方やクレジットカード決済のハードル(特に未成年にとっての)と電子マネーによるくぐり抜けなど、従来の、特に子どもが大金を使ってしまうという消費者問題が再燃することは半ば既定路線のようにも思えるし、そのことは消費者問題にとどまらず、子どもたちの社会でのトラブルに発展することも予想される。

この他、位置情報を用いるゲームであるので、歩きまわってゲームをすることの危険性もさることながら、自分の立ち回り先のデータをログとして運営会社に提供するという面、つまりはプライバシーリスクが大きいことも、その関係に関心を持つ人たちには見やすい道理だが、一般のプレーヤーには中々伝わらないであろう。
こうして蓄積されたビッグデータがどのように用いられるか、またIDやその他のデータがどれほど個人の特定につながりうるものなのか、改正個人情報保護法上の匿名加工情報の概念とも関連して、興味深い素材を提供している。

アメリカでの話だが、ポケモンGO、米議員が個人情報保護めぐり開発会社に説明要求という話もある。

日本では、今のところポケモンGOが、熱中するあまり社会の迷惑になるのではないか、交通障害になるのではないかという懸念ばかり先行していて、ちょっと前のドローンとかと同様に、個人の自由より公の秩序ばかりを優先する日本社会らしい反応を示している。しかし、それ以外にも法的には、古くからある問題が新たな装いとともに再び脚光を浴びるかもしれない。

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追伸:課金問題などは、この機会に事業者側が子どもの過剰課金を防ぐシステムを開発してセットで提供すれば、消費者法業界的にヒーローとなれたのにと思う。
あと、人を呼ぶ効果を活用して、公益的な活動・イベントに協賛するとか、そんな事業が行われれば素晴らしいなと思う。例えば保育園とか学童保育とかの資金集めのバザーに、臨時のポケストップを設置して人寄せに協力するとか。

追記:
ポケモンGOに関して、利用者と運営会社とが紛争となる場合、運営会社の規約で準拠法がカリフォルニア州法に指定され、また仲裁条項があり、かつ裁判管轄もカリフォルニア州北部の州または連邦裁判所に専属的に指定されているから、日本人利用者が訴えを提起することは困難という解説がなされている。→「ポケモンGO」利用規約に仕組まれた"ワナ" 用意周到に「責任回避」が準備されている!

しかし、まず日本の仲裁法附則3条をご覧になるべきで、ごく簡単にまとめると、日本の消費者の側から仲裁合意を援用しない限り、仲裁合意は解除することができる。
その上、解除権放棄を明示しなかったり仲裁廷の口頭審理に消費者が欠席したりすれば、解除したものとみなされる。
つまり、アメリカで勝手に仲裁審理が始まっても、その効力を日本で主張することはできない。

また、日本の民事訴訟法もご覧になるべきで、国際裁判管轄に関する民訴法3条の7第5項には消費者の将来の紛争に関する合意管轄が有効となる場合を、消費者が契約締結時に住所を有していた地に管轄権を認める場合で、しかもその合意は専属的ではなく付加的合意とみなすことになっている。
日本の裁判所に日本の消費者が何らかの訴えを提起したとして、被告のポケモンGO運営会社が専属的合意管轄を主張して訴え却下を求めても、それは通らない。
もちろん消費者が好き好んでカリフォルニア州で訴えを起こしたり、自分で援用したりした場合は別だが。

そういうわけで、外国企業が日本の消費者と契約を締結する場合に、いくら外国に管轄合意を定めたり仲裁合意を定めたりしても、一般的にはムダなのである。

なお、準拠法の定めに関しても、法の適用に関する通則法11条を読んでから、日本の消費者との契約に適用されるルールがどうなるのかを論じるべきであろう。

ただし、このように言うのは日本国内での話で、アメリカでそれが通るかというと、一般的には通らないであろう。また、日本国内で訴えを提起できると言っても、外国企業を相手にする場合に必要な英語文書や送達の手間はかかる。これらは合意の効力の問題ではないが、ともあれそういう性質の困難はある。
まとめると、約款の規定がどうあれ、日本の消費者が何らかの責任追及をされる局面では、日本法の下で、日本の裁判所で戦うことができるが、日本の消費者から外国企業に何らかの責任追及をする、特に賠償などの金銭請求をするという場合は、外国において効力を主張し、執行もしなければならないという困難が待っているのである。

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