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2016/06/02

decision : ヘイトデモに対する接近禁止の仮処分

在日コリアン排除デモ禁止 横浜地裁支部が仮処分決定

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在日コリアン排除を訴えるデモの禁止を求める仮処分を川崎市の社会福祉法人が申し立て、横浜地裁川崎支部は2日、デモ主催団体側の市内在住の男性に、法人の事務所から半径500メートル以内でのデモの禁止を命じる決定を出した。

ヘイトスピーチを仮処分で止めるというのはとても良いと思うのだが、民訴的には気になる点がある。

この申請人は、いかなる資格において仮処分を申し立てたのであろうか?

申し立てたのは川崎市川崎区の社会福祉法人青丘社。在日コリアンが多い同市南部の地域で民族差別をなくす活動を進めており、ヘイトスピーチの廃絶を訴える市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」の運営母体。

上記の決定内容を見ると、法人の事務所に近づくなという命令であるから、法人自身の権利を侵害されることを予防するもののようである。業務妨害ということになろうか。

しかし、この法人は民族差別をなくす活動を進めており、ヘイトスピーチ廃絶団体の母体でもあるというのであるから、自らがヘイトスピーチの標的にもなるだろうが、ヘイトの本来の被害者である在日コリアンなどの利益侵害を差し止めることが目的のようにも思われる。

仮にそうだとすると、ヘイトスピーチの被害者の利益を専門的な機関が訴訟上代弁して差し止めを求めるという、拡散利益の保護のための訴訟ということになりそうである。

思い返してみれば、京都の朝鮮学校の訴訟も、本来の被害者である生徒たちの利益を学校が守るという構図であった。
公益的な訴訟の一つの典型なのかもしれない。

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