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2016/06/26

Book:クリーピースクリーチ

今年読んだ26冊目はクリーピー スクリーチ (光文社文庫)

続きにはネタバレがあります。

前作のクリーピーと同時に買って続けて読んだが、前作の世界とは全く違う風景が広がっていて、書き方なんかも、同じ作者とは思えないような作風であった。
例えば、「僕」の語りが途中から始まったので、途中で終わるのかと思ったら、ほぼ、最後まで「僕」の一人称で続いているところなど。

で、多少ネタバレになるが、大学で、こんなに集中的に殺人事件が多発しているのに、職員も先生も日常業務が続いているようなのが非常に現実離れしているように思われる。
一人だけならまだしも、その11日後にもう一人、さらに二日後に一人と同じ学部の女子学生がトイレで殺されるという事態が発生したら、大学は機能停止し、一週間か二週間程度はキャンパスを閉鎖するのではあるまいか。
この小説では、たまたま前期定期試験の終了二日前に3人目の犠牲者がでたので、夏休みとなるが、このようなことがあった直後の夏休み期間中は、学生も教員も原則として入構禁止、入構には特別の許可が必要ということになるだろう。秋になっても、臨時の保安体制を整えて授業を再開し、しかも当面は授業以外の時間に構内に留まることは禁止されるということになるのではなかろうか?
夜8時以降は学生は帰れ、先生は11時までいても良いとか、日が暮れたら教職員がローテーションで見回りをするなんてぬるい体制で大学を続けるというのが考え難い。
ただし、教職員のローテーションではあっても教員はボランティア参加にとどまり、現実にほとんど参加しないというところは妙にリアリティがあるが。さすが大学の先生が著者である。

その他は、解説に書かれていた「安全運転していた車が、いきなり歩道に乗り上げながら猛スピードで暴走を始めたような印象」そのものである。

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