Book:研究不正 47の実例が明らかにする捏造や改ざんの数々-読了
読み終わったので、再掲。今年読んだ18冊目。
小保方問題については、流石に詳しく、かつ簡潔であり、小保方さんの責任転嫁本など全く読む気をなくすくらいである。
研究不正については、理系が舞台のこの本から、文系の研究者にも示唆を得るところが大きい。
具体的には末尾に追記する。
科学のすぐれた成果を照らす光は、時として「研究不正」という暗い影を生み落とす。研究費ほしさに、名誉欲にとりつかれ、短期的な成果を求める社会の圧力に屈し…科学者たちが不正に手を染めた背景には、様々なドラマが隠されている。研究不正はなぜ起こり、彼らはいかなる結末を迎えたか。本書は欧米や日本、中韓などを揺るがした不正事例を豊富にとりあげながら、科学のあるべき未来を具体的に提言する。
ということで、理系の話だし、文系のチンケな博士課程自称修了などはお呼びでないかもしれないが、興味深い本ではある。
追記:
この本で取り上げられている捏造、改ざん、盗用は、どれも文理を問わずに問題となりうる。文系にデータ等あるかと思われるかもしれないが、法律学でも基本となる法情報は存在するし、先行業績のリスペクトは必要だし、海外の文献や法令判例その他の紹介についてもデタラメはダメである。
こんなあからさまな研究不正を誰がするのかと、まじめに取り合う必要はないと思っている同僚も多かろうが、学生のコピペには悩まされているし、二重投稿と研究の多角的な公表との境界線がどこにあるかは真面目に考えるべきことである。
この本によれば、自分でデータを操作したことがあるとアンケートに答えた人は0.3%だが、他人がデータの不正な操作をしたのを見逃したことがあると答えた人は12.5%もいる。
都合の良い形にデータを改ざんしたり、切り取ったり、あるいは隠蔽したりといった操作は想像以上に多く行われているかも知れない。
ということで、色々と用心しなければならない。
同じ著者の知的文章とプレゼンテーション 日本語の場合、英語の場合 (中公新書)も、評価が高い。
なお、以下の書籍は不正を勧めてはいないよね。
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