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2016/05/13

AI法律相談所を開設しても非弁にならない?

米大手法律事務所、破産法担当としてAI弁護士を世界で初めて導入
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ここんとこ、AIとかロボットとかの話題が各地で頻出しているが、法律事務についてもロボットが扱える場面は多いと考えられる。
人間関係の調整に関わる部分はロボットではいかんともしがたいと思われるが、法律の技術的な部分や知識ベースの部分、先例とのマッチングとか要件事実構成などはAIというかコンピュータお得意の分野として、古くから開発研究が進められてきた→法律エキスパートシステム。

AIの方が進化を遂げて、単なるパターンマッチングよりも進んだ推論が実用的なものとなると、一般論のレベルでの法律相談にかなり有用であろうと思われる。当事者の具体的な事件に即した適切な解決を考えることまでAIでできるのかは、私としては知らないというしかないが、仮にそのレベルに近づいたとすれば、法律相談から事件処理の受任、そして訴状や答弁書の作成といったレベルまでをAIが取り扱うという事態も、複雑な事情が絡まないようなものであれば実現できそうな感じがする。

督促手続は無論のことであるし、裁判所において定形訴状を用意している諸事件のかなりが、AIにより処理できるのではないか。

そうなると、例えば私がAI法律相談所と称する事務所を開いて、客に直接AIへの相談と応答、場合により書類作成までもさせて、その料金をとったら、これは非弁活動ということになるであろうか?

AIを用いたとしても、それを動かしている責任者は私なのだから、当然非弁だという立場もあろう。AI自動運転車に乗ったとしても事故った時には運行供用者責任を免れないというのと同じで、責任者は設置・供用者なのだから、その法律事務についての資格が必要だというわけである。

もっとも、この類推には少々穴がある。仮に将来AI自動運転車が実用化されたとして、自動運転車の利用者や提供者が必ず運転免許を保有していなければならないという必然性はない。事故の運行供用者責任の所在と、自動運転車の提供の資格とは必ずしも連動はしない。すると、上記のAI法律相談所で弁護過誤が起これば当然システムの提供者に責任が課されるとしても、システムの提供者に弁護士資格が必要という必然性はない。

むしろ、AIの機械を客に有料で使わせているだけという理解も成り立つ。そうだとすれば、いわゆるハウジング事業者と同様で、何の資格が必要かという話になる。

いずれにしても将来の話であるから、現行の法律を前提にあれこれ考えるだけでは十分ではなく、立法論も考えなければならないが、どのような立法が望ましいのかという観点でも、上記のような議論は必要となる。

ちなみに、上記のようなAI法律相談所が可能になって訴え提起まで、あるいは答弁書作成までを面倒見られるとしても、その先の訴訟行為については人に頼まないとならない。この部分は弁護士の領域であり、AIが代替する事態になるのは無理か、または遠い将来であろう。
これに対して司法書士の裁判関係書類作成業務については、AIによる代替が進むのではないか。というよりもむしろ司法書士さんが積極的に事務所にAIを導入して依頼者を呼ぶのではないかと、そんな予感もする。

もう一つ、税理士さんはAIによる代替に危機感を覚えないのであろうか?
ま、非税理士がAI税務処理を営業したら、ハウジングにすぎないなんて言っても財務省が許してくれないだろうとは思うのだが。

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