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2016/03/10

北大の岡田信弘先生がPoitiers大学にいらしたので、仏憲法院について復習

フランスの憲法院は、事後的違憲審査制度が2010年に発足した。
それまでは、法律制定の最終段階に、憲法違反を唱える訴えが議員などから寄せられると、憲法違反かどうかを審査する事前審査制だったのだが、事後審査により事件が起こってからの違憲立法審査権も有するようになった。

それから2015年までの5年間、既に395件の既済事件があるが、さて、そのうち何件くらいが憲法違反との判断を下しているだろうか?

Delacroix


その統計は、憲法院がサイトにsplitesappを用いて表示している

それによれば、破毀院に違憲審査を求めたQPCが1504件あり、そのうち18%の258件が憲法院に送られている。
またコンセイユ・デタに違憲審査を求めたQPCが856件で、そのうち24%の207件が憲法院に送られている。

そして465件の事件中、392人の弁護士が弁論を行い、395件が判決を下されている。そのうち違憲判断は145の条文に対して下されている。

たった5年間で145の条文、年間約30の条文が違憲と判断されているわけである。

合憲・違憲割合は、全部違憲が14.6%、一部違憲は9.3%、条件付き合憲は14.1%、合憲は56.2%となっている。

そして145条文の違憲判断のうち、多くを占めるのは刑法で、42条文を数える。
その他は、手続法が16条文、税法が16条文、環境事件が10件、公衆衛生が7件となっている。数は全然足りないが、上記アプリではそのように記載されていた。

ということで、極めて活発なのだが、ポワチエ大学のダンティ・ジュアン教授は、QPCの運用があまりに多く、場合によっては法的不安定をもたらしているのではないかという批判的な見方をされていた。
いずれにしても、昔のように憲法学はヒマではないということである。

日本も、かつて憲法改正を口に出しただけでスキャンダルだった時代から、現職首相が国会で堂々と憲法改正を在任中に実行する明言する時代になって、タブーが無くなったということだけは評価に値するが、極めて不安定な時代にはいろうとしている。
日本とフランスとは、人権の伝統が異なり、またEU・欧州人権条約の存在の有無が異なり、さらには個人の自由と表現行為の活発さの違いが顕著にある。日本では、そのようなフランスでは考えられないような国家主義的・人権抑圧的な憲法改正がされてしまうのではないかと、非常に不安である。

フランス憲法裁判については、以下が参考となる。

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