copyright:自炊代行違法判決が確定
例によって曖昧なニュース表記なので、確たることは分からないが、自炊代行業の著作権侵害を認めた高裁判決が確定したようだ。
最高裁判所は、業者側の上告を退ける決定を出し、代行業者に「自炊」の禁止を命じた判決が確定しました。おそらく、上告不受理決定のことなのであろう。あるいは通常上告の却下も含まれているか?
追記:毎日新聞はNHKよりきちんと事実を報じてくれて、クオリティが高いと評価できる。
業者上告受理せず 知財高裁の賠償判決が確定
本や雑誌をスキャナーで読み取って電子データ化する「自炊」の代行業が著作権侵害に当たるかどうかが争われた訴訟で、最高裁第2小法廷(小貫芳信裁判長)は17日までに、業者側の上告を受理しない決定をした。16日付。複製を差し止め、業者側に70万円の賠償を命じた二審知財高裁判決が確定した。
これで1ヶ月10ページとかいうケチな条件でなかったら、無料会員になるのに。
自炊代行業というのは、昔のレンタルビデオ店がダビングサービスを代行してやりますというのを髣髴とさせるし、その後も客が客の自己使用のために他人にやらせても、その他人がそもそも主導しているシステムの中ではその他人が複製主体になるという判例が確定しているのであるから、結論は見えていた。
スキャンした後に本を廃棄するということで著作(権)者には経済的損害を与えないと言っても現行法の建前からは認められない。
ただし、現行法と既存の判例に基づいた解釈論の枠内では適切な解決ができないことがはっきりしたという意義はある。
ここは、紙の本についてだって利用者がそのデジタル化による使い勝手の良さを享受することが認められるべきだし、そのためのサービスがあってもよいという価値判断に立って、新たな立法論の後押しをする判決と理解したい。
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- Arret:共通義務確認訴訟では過失相殺が問題になる事案でも支配性に欠けるものではないとされた事例(2024.03.12)
- Arret:欧州人権裁判所がフランスに対し、破毀院判事3名の利益相反で公正な裁判を受ける権利を侵害したと有責判決(2024.01.17)
- jugement:大川原化工機の冤罪事件に国賠請求認容判決(2023.12.27)
- arret:オノアクト贈収賄事件に高裁も有罪判決(2023.10.24)
- arret: 婚姻費用分担請求に関する最高裁の判断例(2023.08.08)
コメント