民訴教材:賠償金が払われないので再提訴
幾つかポイントがあるが、格好の初級民訴教材となりそうだ。以下の引用は、必要な修正を加えている。
M公立中学校で1993年、1年生の生徒(当時13)が体操用マットの中から遺体で見つかった事件をめぐり、遺族が最高裁判決で確定した損害賠償の支払いを求め、改めて山形地裁に提訴した。損害賠償の請求権が時効(10年)によって消滅するのを防ぐため。提訴は1月12日付。最高裁は2005年、民事訴訟で7人の元生徒側の関与を認め、総額5759万円の支払いを命じた。遺族の話や訴状によると、7人からは支払いがなく、15年に強制執行の手続きを進めたが、このうち3人については差し押さえる財産が把握できなかったという。
(問題)
1) 一度裁判で勝訴した原告が、再び支払いを求める裁判を提起することは許されるのだろうか?
1-1) 一事不再理という原則は適用にならないか?
1-2) すでに勝訴しているのだとすると、もう一度訴えるのは「訴えの利益」がないのではないか?
2) 前の判決は、今回の裁判にどういう影響があるか?
新しい裁判だから、前の判決とは別に責任の有無を判断するのだろうか?
それとも前の判決の効力は今回の裁判に拘束力を持つのだろうか?
3) 前の訴訟で強制執行をともかくした4人が、仮に2000万円くらい支払ったとすると、今回の裁判では誰にどう請求することになるのか?
#これは民訴の問題とは必ずしもいえないか。
4) 少年審判で3人は不処分となっている。この家裁の判断は今回の裁判に影響するか? 仮に刑事裁判で無罪判決が確定していたとすれば、その後の民事訴訟で無罪判決はどんな影響をもつだろうか?
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