Book:森村進『法哲学講義』
妻の本棚から拝借して読んでみたのがこれ、今年読んだ 54冊目はリバタリアンとして名高い森村先生の法哲学講義 (筑摩選書)
内容は、最初の方の、「序論・法哲学とは何か? なぜ学ぶのか」と「法概念論は何を問題にしているのか」、そして「法実証主義とは何か」というあたりが明快で面白い。
この本についてはあの岡口判事がツイートしていて、それも冒頭の序論の最後にある一言だった。
「法学者や実業家の中には法哲学に対して法の実践への寄与だけを求め、「役に立たない」理論を軽視する人もいるが、法哲学者が必ずその期待に応えなければならない義務はない。」
その後、 ケルゼン、H.L.A. ハート、ドゥオーキンを紹介してなで斬りにした後、正義論とメタ倫理学で締めるという構造である。
各章には、森村先生による文献解題が付いていて、これが概論として有用さを際立たせている。また、はじめにの部分にある法哲学読書案内では、体系書でもない、教科書でもない、論文集でもない、単著による概説書が今世紀には存在しないということで本書を書かれ、その中では自説の開陳も遠慮しないことになったということであり、森村先生の思う「概説書」とはかくあるべしというのが本書というわけである。
その意味で、とても興味深く読んだ。
ま、ちょっと、専門外の者が、この本だけ読んで法哲学分かったということにはもちろんならず、身近にいる法哲学者にあれこれ質問したりして理解できることも多く、学生ならそれこそ文献解題を手がかりに自学自習したり、あるいは直接森村先生の門下に連なったりということが必要であろうなと感じられるものではあった。
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