WCWS:第3回世界女性シェルター会議
世界女性シェルター会議の第三回会議に出席するべく、デン・ハーグに来ている。
既に出席登録をして、もらってきたグッズの数々。
ピンク色の手帳は、そのまま白ページしかない手帳。
赤い本はオランダの女性運動とシェルターの歴史を叙述した英語の本。
これらが紫のショルダーバッグに入っていて、手渡される。
さて、プログラムは大会サイトで見ることができるが、いくつか興味深いものをピックアップしてみよう。
一日目の全体会のテーマは、DV被害にあった女性たちの経済的自立の問題とこれに対する継続的な支援の問題を扱う。
午前と午後それぞれに、分科会が並行開催されるが、その中では Digital Highway to Independence in Social and economic empowermentが注目だ。
デジタルメディアを用いて、被害者たる女性たちの共通プラットフォームを設け、経験の共有の場としたり、ICTスキルの向上を図って収入に結びつけたりする。これによって女性たちが孤立のワナから抜け出せる道を探ろうというものである。
スピーカーはパキスタンとヨーロッパ、それにInternet Societyなどでも活躍しているIffat Gillさん。
続いて二日目の全体テーマは、国境を超える暴力被害と国際協力。
分科会での注目はRestraining Orders and Domestic violence。
これはオランダの2008年の立法により導入された一時的保護命令で、10日間に限り、加害者が家を退去して被害者に接近することを禁止されるというものである。
日本のDV防止法において最も欠けている部分の一つと言うことができる。下記文献参照
分科会では、市長がメインの責任者として位置づけられ、警察、サポートサービス、そしてシェルターとの連携が図られる必要性が取り上げられるとのこと。
またその前には、from lawlessness to law enforcementという魅力的なタイトルで当事者の裁判所における審尋請求権、適切な助言やリスク評価の重要性などを通じて、法が不足している状態から法が実現される状態にどのようにして持っていくのかを議論する。
三日目は女性に対する暴力を減らし、サバイバーをサポートするための革新的なアプローチということで、グーグルやフェイスブックのこの種のプロジェクト担当者が登場する。
分科会でも、Technology, Privace, Safety and Violence against womenと題するセッションは、暴力被害者がネットを通じて助けを求めたり、プロバイダがそのための助力をしたり、しかし他方で加害者にとってのツールともなり、被害者のプライバシーが危うくされることがあることなど、長短両面があることについて13年間の経験に基づいて議論をするという。
続けてAddressing Violence against Womenと題するセッションでは、スマホのアプリで暴力被害に対抗しようというツールの開発活用が取り上げられる。
ということで、情報ネットワーク的にも極めて興味深い議論が展開される予定である。
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