lawyer:国境なき刑事弁護団続報
先日このブログでlawyer:国境なき刑事弁護団として紹介した件、詳報が産経新聞にでている。
デタラメ司法取引、片手間弁護…異国でトンデモ冤罪の恐怖 日本人救う〝国境なき弁護団〟結成
たいへん読み応えがある記事で、これはひどいと思うような事例がゴロゴロ出てくる。
有能そうな国選弁護人から日本語がわかるという私選弁護人に乗り換えた途端、有罪を認めろと言われたり、リーガルエイドの弁護士がやる気がなく意に沿わない司法取引を勧めたりという事例である。
しかし、思い返してみると、これ、みんな日本の弁護士でもあり得ることだし、事案により簡単には否定出来ないところではある。
被告人と支援者が頑張って、再審を勝ち取ったり、無罪を勝ち取ったりした後でなら、最初の弁護士は何やってたのかという話になりやすいが、現に進行中の事件について担当弁護士が不当な処理をしていると第三者から決めつけるのは、よほどの場合でなければ難しい。
また、リーガルエイドはやる気が無い、片手間、という評価も、他所の国の話だから許されているところがある。
なお、在外公館のサポートでは足りないのかという反応が前のエントリにはあったが、記事中ではまず在外公館の援助を依頼するのが基本だとしつつも、以下のように書かれている。
現地の日本領事館に助けを求めてもマニュアル通りの形式的な対応が多く、外国で犯罪に巻き込まれた日本人らを支援・救済するシステムは制度的には確立していないのが現状という。
そういうわけで、前回エントリでも感じた話だが、中世レベルの日本の司法もさることながら、言葉が通じない世界で犯罪の疑いをかけられたときに、日本語で無実を訴えて力になってもらえる存在は必須だ。活躍を期待したい。
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