jugement:民訴教材・商標権の差押えと第三者異議訴訟
事案は、被告A社がB社(サンコー大阪)の商標権を差し押さえたところ、原告C社が、その商標権は自分が譲り受けたものであるとして、差し押さえを許さないという旨の判決を求めて訴えを提起したというものである。
根拠条文は民訴38条。
(第三者異議の訴え)第三十八条 強制執行の目的物について所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有する第三者は、債権者に対し、その強制執行の不許を求めるために、第三者異議の訴えを提起することができる。
しかし商標については、本来この種の争いにはならないか、少なくともなりにくい構造がある。
そのことは判決文を読めばすぐ分かる。
商標権の移転については,登録をしなければその効力を生じないと規定されているところ(商標法35条,特許法98条1項1号),前記前提事実(2)記載のとおり,本件商標権は,平成22年12月3日にサンコー大阪を商標権者とする登録がされた後,平成27年4月9日に本件強制執行による差押えの登録がされており,その間,サンコー大阪から原告への移転登録はされていないと認められる。したがって,仮にサンコー大阪と原告との間で上記差押えの登録より前に本件商標権の譲渡がされていたとしても,上記差押えの登録より前にその譲渡の効力は生じていなかったと認められるから,本件強制執行の目的物である本件商標権が,原告に帰属していないことは明らかである。
ということで、商標権移転登録が効力発生要件だとすれば、移転登録はしていないが自分のものだという主張がそれ自体失当となる。
なお、判決文では、移転登録が出来なかった事情の主張についても答えている。この主張が如何なる法的意味でなされているのか、そもそも原告が答弁書を出しているのかとか、疑問はあるが、一応、権利濫用か信義則の主張であろうかと思われる。
それを退けたのは実体判断だが、口頭弁論終結後に提出された書面について、判決で判断を加える事に民訴的には興味がある。口頭弁論を再開しないことについての理由として述べられているわけだが、これと本案判断との関係は限りなく少ない。
まあ、一審だから、控訴すれば口頭弁論の機会は得られるので、あまり影響はないのかもしれないが。
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