France:トゥールーズの離婚事件は担当裁判官不足のため遅延している
フランスの離婚は、当事者の合意によるにせよ有責性を問うにせよ、裁判官が認めなければならない。
ところが、肝心の裁判官の定員が埋まっていないため、迅速な事件処理ができず、トゥールーズでは離婚事件の処理が遅れるという事態になっている。
→Des divorces à rallonge faute de magistrats
トゥールーズ大審裁判所では裁判官定員の10%が慢性的に欠員となっており、全国的にも4%の欠員が生じているが、特にひどいという。
そのしわ寄せが家族事件裁判官に現れたわけであり、家族事件裁判官だけの問題ではないとされている。
これには、もちろん裁判官定員を減らしたサルコジ政権ラシュワン・ダティ司法大臣時代の施策が原因となっていて、トゥールーズの家族事件裁判官の一人が病欠しても代わりが来るまで18ヵ月もかかったという。
また、女性裁判官が増えたことで産休・育休の機会も増えたことも欠員状態が生じる一因とされている。
その結果、離婚を望むカップルが家族事件裁判官に審理を受けるのに、2015年初めまでは6週間から9週間またなければならなかったところ、今は新件が来ても来年3月まで空きがないというから、4ヶ月待ちという状態になっている。
ダティ時代の2007-2009年の間、年間に80人の新任裁判官が採用されていた一方で、毎年200人程度の退官があった結果、約400もの定員が欠員となっているという。
裁判官は足りないからといってすぐに採用を増やして配置できるわけではなく、特に裁判官・検察官と弁護士との養成が全く分離されているフランスでは、即効性のある対応はなかなか困難であろう。
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