Book:ニッポンの個人情報〜「個人を特定する情報が個人情報である」と信じているすべての方へ
今年読んだ52冊目。
既に内容紹介はいただいたときの紹介文に書いてしまった。
途中まで読んでフランスに持ってきたままになっているのを、今、オランダで読み終えた。
脚注で、私の消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方を引用していただいているのをかたじけなく思う。
それにしても、個人情報保護のために、適切なサンクションがなければダメなのだが、まともに損害を賠償させると潰れてしまうからこれまたダメだというあたり、不徹底ではなかろうか。
施行日が定まった消費者裁判手続特例法の対象事件に加えられたとしても、たとえ一件数万円の損害賠償が見込まれるとしても、個人情報漏洩で数万人の被害者がいるといった事件では、果たして消費者団体が責任追及可能かどうか、まじめに考えて見る必要がある。
数万人の被害者に南通もの手紙を送ったり電話や直接面談の説明を原則としてしなければならないことから、そのコストは膨大なものとなる。被害者数が多ければ多いほどコストが縮減できるというものではなく、むしろ膨らむ構造にあることを直視すべきである。
要するに、その大量の被害者に連絡するなどのコストをもっと圧縮するとともに、そのコストは事業者側に転嫁できるような仕組みにしないと、この制度はワークしないおそれがある。
そのような現状を見ると、集団的消費者被害回復手続に乗るようになったとしても、なお、濫訴のおそれなどは取るに足らない抽象論にすぎないのである。
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