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2015/10/11

Volkswagen 事件で、使える制度かどうかが試されるフランスのグループ訴権

En France, l'affaire Volkswagen réveille l’action de groupe

アメリカではもうクラスアクションが提起されたと報じられているフォルクスワーゲンの環境基準ごまかし事件だが、フランス版クラスアクション«class-actions» made in Franceが出来たフランスでは果たしてフォルクスワーゲンに対するこのグループ訴権は提起されるのか?

上記の記事はこの興味深い疑問を掘り下げて書かれている。

日本にも、フランスとほぼ同時期に日本版クラスアクションともいうべき集団的消費者被害回復手続が成立し、その施行が待たれている状態であるので、フランスの状況はある種の実験のような感じがあって興味深い。

日本の対応する法律(消費者裁判手続特例法)の解説は『消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方』を参照のこと。

さて、フランスのグループ訴権は施行されて約1年あまり、すでに6件の訴訟が提起され、うち1件は和解が成立して終結している。

その数から見れば、アメリカでのクラスアクションに続いてフランスでも訴訟が起こされても不思議はない。実際上記の記事では、グループ訴権立法の生みの親であるアモン氏が、消費者団体はこのインチキ商法に対して飛びかかるだろうと期待しているとされている。

しかし実際にはなかなか難しいようだ。

提訴が困難な理由は主に三つ。
一つは、アモン法がグループ訴権提訴資格を一般の弁護士に認めず、日本的に言うなら特定適格消費者団体に限っていることである。
第二は、損害額や訴訟原因の存在を見積もることが困難であることである。
第三は、司法の遅延が甚だしいことで、すでに起こされたグループ訴権でも和解により終結したものを除けばまだ準備手続段階に全てとどまっている。上記記事によれば、UFC-Que choisirが不動産会社のFonciaに対して提起した訴訟では、既に個別訴訟でフォンシアの行っていたことが違法であることが認められているにもかかわらず、裁判官はメディアシオン=調停を提案して時間を無駄にしているというのである。

さて、こんな使えないというアモン法ではなく、フランスの弁護士の中には独自にインターネットを通じて当事者を募り、成功報酬制度により訴え提起を多数の消費者に促していくWeclaimというサイトも存在している。

このサイトはこのサイトでなかなか興味深いものだが、アモン法の代替になるかどうかはいささか疑問なところでもあろう。

さて、日本ではどうか。日本の法律はまず施行前の契約に適用されないということで、そもそもフォルクスワーゲンの現在の事件には適用がないのだが、仮に将来同じようなことが起こったとすると、消費者裁判手続特例法は使えるか?
フォルクスワーゲンの環境基準のごまかしが、例えばユーザーになんらかの追加支出を必要とするような改修義務や、このままでは車検を通せないといった不都合が生じるのであれば、当然リコールが必要となるだろう。もしリコールが行われてしまえば、損害はないということになりそうである。これは実体法の話。
もしユーザーには不都合が生じない、つまりそのまま乗り続けられるとすれば、はたしてこれが不実告知などの取消原因を構成するかどうか、極めて微妙だ。また仮に取消原因を構成するとしても、実際に取り消して代金を取り戻したいというユーザーがどれほどいるかも疑問がある。

そうなると、100人規模の被害者が取消を求めてフォルクスワーゲンと交渉して争っているという状況下でもないと、なかなか特定適格消費者団体自身の見立てで共通義務確認訴訟提起に踏み切るのは難しいのではあるまいか?

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