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2015/10/25

lawyer:国境なき刑事弁護団

何かと暗いニュースが多い法曹関係だが、これは素晴らしいと思うニュースが「【結成】海外の日本人の冤罪救う「国境なき刑事弁護団」」だ。

冤罪に限らず、海外で法的トラブルになって警察沙汰となってしまうと、その孤立無援さは察して余りあるものがある。まさしくカフカの審判を彷彿とさせるような、暗闇の中でもがくような立場に追い込まれるのだ。

先日も、日本人女性が覚せい剤密輸の疑いで、本人は否定しているが、死刑判決が確定したばかり。→FRANCE:海外の自国民に対する死刑に、日仏政府の対応の違い
もちろん他の主権国家の裁判に介入することが不当なことは言うまでもないが、自国民保護としてなすべきことは確定判決に覆すことではなく正当な防御権を保障されるように手を尽くすことであり、そのための努力を国の責任で行うべきなのである。

国がしないのであれば、私たちがする、という感じに見える冒頭のニュースは、とても爽やかだ。

ところでこのネーミングは、当然ながら国境なき医師団とか国境なき記者団といった先行団体に習ったものであろう。フランス語で書けば、Avocats sans frontièresということになろうか。刑事弁護のニュアンスはこれで出ているようである。
実は既にこのネーミングの非営利団体は存在し、活発に活動しているところである。

Avocats sans frontières FRANCE

そして、この種の運動はフランスにはもちろん限られない。世界に広がっている。
最初は1991年のカメルーンでの大会とAvocats Sans Frontières の日が行われ、1992年にはベルギーで初めてのAvocats Sans Frontières が結成された。
1998年以降、デンマーク、フランス、オランダ、イタリア、マリ、モーリタニア、スウェーデン、スイス、ブラジル、カメルーン、カナダ、そしてギニアである。


このAvocats sans frontièresの目的は、国境を越えて刑事弁護を必要な人に届けようということが基本であるが、それはとりもなおさず世界を舞台とした人権擁護の運動となるし、死刑や拷問廃止運動ともなる。法律扶助の強化を世界的に実現しようということにもなるし、また弁護士制度の強化を世界に推し進めることにもなる。
のみならず、国際的な刑事司法のあり方についての教育・研修にも乗り出している。
さらに、Observatoire International des Avocatsという活動領域では、世界中で弾圧を受けている弁護士に対する救援も行っている。

日本で生まれた上記の国境なき刑事弁護団の活動が、世界レベルに発展していくことを切に望みたいが、すぐ上にあげた諸課題は、まずもって日本の刑事司法で問われている内容でもある。

中世レベルといわれる日本の刑事司法をまずなんとかしないと。

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