11.03文化の日の制定経過は感動的だ
風のうわさで聞いたところでは、文化の日を明治の日に改めようという動きがあるとか。明治天皇の誕生日だからということなのだろうが、そんなことを慣例にすると、そのうち休みじゃない日がなくなるんじゃないのかというツッコミはともかくとして、11月3日が文化の日と定められたときの参議院の議論をフェイスブックの友達が引用していたので、それを探してみた。
国会の会議録は、ネットで公開されているので、検索もかなり詳しくできるので、色々と興味の赴くままにやってみると実に面白いのだが、上記の文化の日を含む国民の祝日に関する法律の議案が審議されたのは昭和23年6月18日の参議院文化委員会→pdf版であった。
議論はそんなに長いものではないが、最後を締めた山本勇造委員長の発言を引用してみよう。
この日が憲法記念日だというのは、ピンとだれにでも分かるのでありますけれども、「文化の日」と言いますと、どういうわけで「文化の日」だかという疑念があるようであります。併しこの日は、憲法において如何なる国もまだやつたことのない戦争放棄ということを宣言した重大な日でありまして、日本としては、この日は忘れ難い日なので、是非ともこの日は残したい。そうして戦争放棄をしたということは、全く軍国主義でなくなり、又本当に平和を愛する建前から、あの宣言をしておるのでありますから、この日をそういう意味で、「自由と平和を愛し、文化をすすめる。」、そういう「文化の日」ということに我々は決めたわけなのです。(以下略)
画像で転載したように、議論はその前から二人の議員の賛成討論で始まっていた。
一人は来馬琢道議員、この方は僧侶で、聖徳太子の命日として4月11日を文化の日にしてくれと言ってきたが、憲法記念日が5月になる関係で11月3日を文化の日にするのには賛成するというもの。
もう一人は徳川頼貞議員で、憲法記念日にしたかったけれども衆議院の意向に従うということを述べている。
ともあれ、11月3日は憲法の公布の日であり、山本勇造委員長によれば「戦争放棄ということを宣言した重大な日」として、平和を愛する文化の日にふさわしいものというのが、制定趣旨なのである。
かの戦争法案または平和安全法案の審議中に、平和と安全を希求するんだということを繰り返し述べていた現政権にとって、平和を愛するという趣旨の祝日には異論がありようがない気がするのだが、どうかな?
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 国立西洋美術館-内藤コレクションで教会法大全の写本を見る(2024.08.05)
- The Welkin(2022.07.08)
- 最近買った本:江戸時代の罪と罰(2021.11.15)
- 最近買った本:スポーツと法(2021.10.12)
- フランスで流れている東京五輪予告ビデオ(2021.05.22)
コメント