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2015/09/05

受験者数が減少すると試験が難化するって?

all aboutに司法書士試験業界の方が記事を書いているが、なかなか難解だ。

司法書士試験の出願者数・受験者数減少による競争激化

まず、近年の司法書士試験と行政書士試験とが、受験者数を減らしているという統計をあげ、その理由は新規参入者が減っているからだというのだ。そう考える理由は、大きな制度改革もないので、今まで受けていた人が諦めるとは考えにくく、新規参入が減っていると考えるのが自然だという。

まあここまではいいとして。

その次が表題にしたところ。

新規参入される方が減少すると、なぜ受験生の方にとってあまりよいことではないかというと、それは「受験生全体のレベルが上がるから」です。司法書士試験は記憶がメインの試験ですから、勉強期間の長い方のほうが高得点が取りやすくなります。よって、新規参入の方が減少し、勉強期間の長い方が増えると、受験生全体のレベルが上がるのです。

仮に受験生全体のレベルが上がるというのを認めたとしても、合格圏内に入ることの難しさというレベルでは、変わらないのではないか。むしろ逆に、新規参入者でとても勉強がよく出来る(この解説者の説明に従うなら暗記能力が高い) 人が一定数いるとすると、そういう人たちが減ることで、一般的にはやはり合格圏内に入りやすくなるはずである。

しかも次が興味深い。司法書士試験の受験者数の推移は予備試験の導入と直結しているというのがこの解説者の指摘だ。もちろん他の要因も上げているが、以下のような指摘がされている。

旧司法試験から司法書士試験に転向していた方が、さらに予備試験に転向したということが司法書士試験の出願者数・受験者数の減少の原因として考えられます。

しかしこういう結論を導き出すには、旧司法試験と司法書士試験、あるいは予備試験と司法書士試験とが択一関係、つまりどちらかしか受けられない関係にあることが必要であろう。科目的には大きな連れがあるとはいえ、基本は法律の試験であり、特に民法系が基本であるからこそ、上記のように「転向」することがあり得るし、「転向」が容易なら両方受けることも容易なのである。
ということで、予備試験に戻ったため司法書士試験受験者が減ったというのはどうなのかなと首を傾げる。

それに、仮に旧司法試験受験生が制度改革で諦めて司法書士試験に来たというのなら、そのような新規参入者は法律の勉強を長くやっている人たちなので、先の、新規参入が減ればレベルが上がるという分析とは矛盾するように思われる。

結局のところ、法律職全体へのイメージダウンと景気変動、特に大卒レベルの雇用環境の改善が、資格試験のパイに強く影響しているという、普通の話になりそうだ。

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コメント

個人の感想ですが、受験者数は減ったのではなく元にもどったと思っています。
この10年は法律実務家にバブルをもたらせた債務整理と、司法書士悲願の簡裁代理権という特異な事情で歴史的な受験者数増加のピークがあるので統計的な数字としてのサンプルに適さない期間かなと。

投稿: つがい | 2015/09/05 20:51

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