痴漢冤罪用のヘルプコール付き弁護士保険
中々面白い仕組みの保険だ。
日刊工業新聞の記事
弁護士保険も、最近は色々出てきたので、キャッチーな差別化を図って売る段階に入ったのだろうと、感慨を覚える。
この保険、満員電車で通勤して、痴漢に間違えられないかと不安を覚えていた人向きということで、時宜を得た感じもある。
ヘルプコールの仕組みも中々だ。
スマホのボタンを押すと登録した弁護士に一斉メールが生き、対応可能な弁護士がまた反応ボタンを押すと利用者にメールが返っていくということだ。
モバイル時代ならである。
対応時間が7時から10時、17時から24時と通勤時間に合わせているのがまた心憎い。
もちろん痴漢冤罪以外の相談による弁護士費用にも使えるとのことだ。
さて、弁護士保険には共通して寄せられる懸念はどうだろうか?
すなわち、モラルハザードというか、意図的な保険事故は免責になるのだろうか? この場合の意図的というのは痴漢に間違われる行動をとったということではなくて、意図的に痴漢をするということだが。
弁護士の仕事としては、被疑者が無実かどうかに関わらず弁護をするのだが、保険的には意図的痴漢を免責とすることもアリだ。
その場合、しかし本当にやったかどうかは検察処分も含む司法判断に寄らざるを得ないのと、その間の弁護料は保険金として支払わざるを得ないだろうから、有罪となれば本人に請求するのだろうか?
その場合、保険金詐欺には問われないのか?
もう一つの懸念は、ヘルプコール付きの仕組みが非弁提携にならないのかという点。
ヘルプコールの過程では保険会社が関与しないで直に依頼者と弁護士がつながるということでクリアしているのかもしれないが、以前ならこの点が最大の障害となって企画倒れとなっていたところだ。
あと、月額570円を進んで払う人がどれほどいるのかというのも興味深いポイントだが、アプリとして売り出したら、ひょっとしたら買うかもしれない。なにしろ有料メルマガだって、そのくらいの価格で結構売れるのだから。
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