copyright:法学天事件
明るい話ではないのかもしれないが、ちょっとオモシロイと思ったので備忘録。
「判例百選」ネットで無断転載した男性逮捕――出版社「有斐閣」と刑法学者が告訴
判例百選のデータを無断でネットにアップした男がいて、そのサイト名が法学天というらしい。
激怒した有斐閣が、山口厚先生を告訴人として告訴したというのである。
告訴を受け、今年4月12日に、関西在住の男性が著作権侵害の容疑で逮捕されたという。
この記事でオモシロイと思ったのは、判例百選のほとんどというのだから、私も含めて1000人を超える著作権侵害の被害者がいる。その全員が刑事告訴する必要は全くなくて、山口厚先生一人を告訴人として法的手段を取れば、その全体についての刑事責任が追求できるという点だ。
#ま、ちょっと、起訴対象事件となるには親告罪なら告訴がある部分だけだろうし、起訴対象事件以外の部分も例えば量刑に反映させるとなると、親告罪の建前との関係がどうなるのかと民訴的には気になるところではあるが。
民事損害賠償については未定だというのだが、そして著作権侵害者に追及すべき金があるとは思えないのだが、頭の体操として、山口先生が我々凡百の著作者全員を代表して訴えを提起してもらい、我々が特に嫌だと言わない限り山口厚先生の訴訟追行の結果に従って、うまく行けば損害賠償をとれるとなれば、大変ウマーだと思うのだ。
これこそクラスアクションである。
もちろん日本ではそのような法がないし、実はウマーとなるためには懲罰賠償がなければあまり実益もないし、山口先生の負担も大変だから、成功報酬制度も必要だし、そもそも手を挙げる弁護士がたくさんいないとならないし、クラスアクション制度が立法されたからといって直ちにそういう訴訟がたくさんできるというわけではない。
それでも、こういう事案を見ると、クラスアクションの必要性を改めて思うのだ。
日本には、下記書籍で検討した消費者団体訴訟制度が出来たばかりだが、その制度を積極運用するには、やはり同様に上記のようなインフラがないとならないという点も、改めて強調しておきたい。
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