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2015/07/02

consumer:消費者裁判手続特例法の最高裁規則について・その2

昨日に引き続き、消費者裁判手続特例法の最高裁規則について見てみよう。

昨日のエントリでは共通義務確認の訴えに関する部分だったが、今日は対象債権確定手続に関する部分。

まず、目を引くのは、簡易確定手続開始決定が数個の請求にかかる義務についてされた場合の債権届出の方式に関する19条。

実は共通義務確認の訴えの訴訟物をどう把握するかは明確でないものの、一応旧訴訟物理論に則って理解するということはホクネット監修の『消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方』79頁以下に書いておいた。そこでは、請求権競合がありうること、そして共通義務確認判決では競合する請求権のいずれも判断しなければならない単純併合になることを論じた。

19条は、そのことを前提に、競合する請求権に対応する義務のいずれもが認められた場合に、債権届出はどうするのか、競合する請求権のうちの一つを選ぶのか、選択的ないし予備的に届け出をすることができるのかという問題に答えている。

(数個の請求に係る義務について簡易確定手続開始決定がされた場合の債権届出)

第十九条 一の共通義務確認の訴えで同一の事業者に対して請求の基礎となる消費者契約及び財産的被害を同じくする数個の請求がされた場合において、そのうち二以上の請求に係る法第二条第四号に規定する義務について簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、一の対象消費者の一の財産的被害については、できる限り、当該二以上の請求に係る法第二条第四号に規定する義務に係る対象債権のうちから一の対象債権を限り、債権届出をしなければならない。

 2 前項に規定する場合において、簡易確定手続申立団体が一の対象消費者の一の財産的被害について数個の対象債権の債権届出をするときは、各債権届出は、順位を付して、又は選択的なものとしてしなければならない。

一項ではできるだけ一つに限ってとあるが、これは2項との関係で任意的であり、実際は一つの限るよりも2項のように選択的な構成をすることが多いであろう。競合する請求権のうちの一つしか成立しないと考えられる消費者に関しては、一項の原則が適用になる。しかしこれは当然のことであろう。

どのような場合にそうなるかは、『消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方』80頁あたりを参照されたい。

第二に、債権届出をすると、相手方はこれに対して認否を行う。認めるという認否であれば、それで確定するが、認めないという認否がなされた場合は、債権届出団体が認否を争うことで、簡易確定決定の審理・決定にコマが進む。
この場合に認めないという認否には理由を付すべきだと、かねがね考えていたが、(『消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方』113頁参照)、27条は以下のように規定した。

第二十七条 届出債権の認否は、書面でしなければならない。

2 相手方は、届出債権の内容の全部又は一部を認めないときは、前項の書面(次項において「認否書」という。)に、その理由を記載しなければならない。

このように理由付記義務が記されたことの意義は大きい。もっとも、この種の規定はしばしば訓示規定と解されているが、結論のみが記されている認否書については裁判所の釈明権行使が期待されるところである。

また、認否を争う申出の判断に必要な証拠書類の送付義務も、相手方に関して規定されており(29条)、これらの規定が適切に運用されれば、実質的な審理が可能となることであろう。

消費者裁判手続特例法の下位法令としては、最高裁規則の他に内閣府令もあり、これはこれで現在パブリックコメントの募集中である。
そちらも合わせて検討しないと、この新制度のルールの全容が理解できない。夏休みの宿題だ。

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