consumer:消費者契約法改正により勧誘にネット広告も含めるべき
報道によると、あの三木谷氏が代表理事を務める新経連が、「『広告』が『勧誘』の規定に含まれるとして広告に不当勧誘規制を課すことに対し、強く反対する」との意見書を提出したそうだ。
しかし、こうした意見が堂々と言えることには驚きを禁じ得ない。
勧誘に広告が含まれるかどうかというだけならともかく、問題の焦点は不実告知・不利益事実の不告知による取消可能な範囲の拡大という点にある。
現行法は以下のような規定である。
第四条 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。一 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
二 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
重要事項について事実と異なることを告げ、それで誤認してしまったという場合に、その不実告知が個別の勧誘において行われれば、取消が可能というわけだ。
勧誘だけでなく広告にも適用しようというのは、この「重要事項について事実と異なる」広告をすることによって誤認して契約してしまったのを取り消せるようにしようというわけである。
これに反対するということは、重要事項について事実と異なる広告をして消費者を誤認させたとしても、それは誤認した消費者が悪いので、取消はできないと頑張っているということになる。
こんなハレンチな意見をよく堂々と公表できるものだ。
重要事項について事実と異なる広告をしたら、それはもうアウトであろう。
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