BBCが一覧表で、どのような記事が「忘れられるべきか」を表示
これは極めて興味深く、また法的にも微妙な点に関わる。
英BBC「忘れられる権利」でGoogle検索結果が削除されたページ一覧を公開
そのリストはList of BBC web pages which have been removed from Google's search resultsというブログエントリとなっている。
一般に秘密保護の最大の難点は、秘密にすべきかどうかの判断基準を一般に議論することができない、なぜなら秘密にしてしまえばその情報の内容が見られないので要保護性を実質的に判断する資料がない、という点にある。
その結果、秘密性の有無を判断する機関が秘密情報の保有機関であったりすれば、恣意的に運用されても誰も文句は言えず、しかも情報を保有している者は持たざる者に対して優位に立つことが多いので、どうしても情報は隠すのがデフォルトとなりやすい。
この観点から、上記BBCの以下の言葉は極めて良いポイントを突いている。
これを行なう第一の目的は、公共政策に貢献するためです。我々は、「忘れられる権利」に興味がある人々にとって、どの記事にこの権利の影響があったのか突き止めることが可能であることは重要だと考えています。これにより、この件に関する討論に寄与することができればと願っています。
検索結果からの削除というものと、情報それ自体の秘匿というのとはレベルが違い、情報それ自体の秘匿については上で述べたような秘匿による秘匿の正当性判断の不可能性というジレンマが生じるが、検索結果からの削除だけならそうでもないとも言える。
しかし、検索により到達できなくなった情報というのは、大部分の場合、存在しなくなったも同然となるので、程度の差こそあれ、検索結果からの削除の当否を判断するには何が検索結果から削除されたかをBBCのように一覧させて検討する機会を設けることが必要である。
ただそうなると、せっかく検索結果からの削除により人々が到達できなくなり、「忘れられる」ことができたのに、またまた寝た子を起こすことにもなる。
そうしたジレンマは、無限に続くのであり、解決は困難である。ただ、BBCがこのような一覧表を掲示してもその内容についての検索ができないという点では、依然として多くの一般人には「忘れられる」ことができているとも評価できよう。
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