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2015/07/23

arret:有価証券報告書虚偽記載による株価下落の損害賠償算定基準

最判平成27年7月23日
株価下落訴訟:西武鉄道の賠償確定…上告を棄却

西武鉄道の有価証券報告書虚偽記載事件で株価が下落し損害を被ったとして、株主や機関投資家らが西武鉄道などに賠償を求めた4件の訴訟の差し戻し上告審で、最高裁第2小法廷(鬼丸かおる裁判長)は22日付で、双方の上告を棄却する決定を出した。最高裁が示した損害額の算定方法に基づいて西武側に約46億円の賠償を命じた東京高裁判決が確定した。

先日はオリンパスに関連する裁判が報じられていたし、東芝に関するスキャンダルが明るみに出てから急にこの種の問題の過去の事例が裁判となって現れてきたのが目につく。勿論偶然ではある。

上記の最高裁判決の事例もその一つだが、記事でも報じられているように、すでに最高裁が有価証券報告書虚偽記載による投資家の損害算定については、第一次上告審で判断基準が示されていたところだ。

それが最判平成23年9月13日集民237号337頁PDF判決全文)であり、そこでは、以下のような一般的基準が示されていた。

有価証券報告書等に虚偽の記載がされている上場株式を取引所市場において取得した投資者が,当該虚偽記載がなければこれを取得することはなかったとみるべき場合において,当該虚偽記載の公表後に上記株式を取引所市場において処分したときは,当該虚偽記載により上記投資者に生じた損害の額,すなわち当該虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は,その取得価額と処分価額との差額を基礎とし,経済情勢,市場動向,当該会社の業績等当該虚偽記載に起因しない市場価額の下落分を上記差額から控除して,これを算定すべきものと解される。
 そして、虚偽記載に起因しない下落分は虚偽記載公表の前後を問わずに生じるが、その虚偽記載公表後に生じたろうばい売りによる過剰な価格下落は、虚偽記載と因果関係があるとして、損害に含まれるべきだとしている。

また、虚偽記載公表前の下落分についても、一般的には虚偽記載と無関係な価格変動によるものといえるが、実は虚偽記載の元となった事実を解消するために株取引をされていたことに起因しての価格下落は含まれていて、その分は虚偽記載による損害に算入されるという。

結局のところ、以下のように結論付けられた。

本件虚偽記載と相当因果関係のある損害の額は,取得価額と処分価額との差額から,本件公表時までの下落分のうち経済情勢,市場動向,被上告人Y1の業績等本件虚偽記載とは無関係な要因によるものを控除して,これを算定すべきである。以上のようにして算定すべき損害の額の立証は極めて困難であることが予想されるが,そのような場合には民訴法248条により相当な損害額を認定すべきである。

今回の最高裁判決は、上記の第一次上告審差戻判決の具体的適用を行った原判決を支持したものである。

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