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2015/06/29

Free speech:言論の自由はあれど、表現行為には責任が伴う

よく、ひどいことを公の席で発言して、それが非難されると、言論の自由を持ちだして開き直るというシーンが見られる。最近の典型例は、百田氏の自民党何とか勉強会における暴言だ。

これについて、徳岡先生(宮武先生)のブログが、詳細に論じているが、安部首相も松井大阪府知事も、百田氏と自民党勉強会メンバーの議員さんたちに言論の自由があるとかばっているようだ。

安倍首相は26日の衆院平和安全法制特別委員会において、こう述べました。

「党の中で私的な勉強会があって自由闊達(かったつ)な議論があるが、言論の自由は民主主義の根幹で尊重しないといけない。」

 松井一郎大阪府知事・維新の党顧問はこう言いました。

「講師として行った百田さんにも表現と言論の自由はある」

「ここぞとばかりに復讐(ふくしゅう)だな。朝日(新聞)と毎日(新聞)は、百田さんの表現と言論の自由を奪っているのではないか。圧力をかけて」

 昨日見たら、安倍首相と百田氏の対談本を出した右翼雑誌「WiLL」の編集長花田紀凱氏がこう書いていました。

「言論の自由」と言い、「言論統制」と言うならば百田さんに「言論の自由」はないのか。言い方はややキツかったかもしれないが、百田さんにも沖縄2紙の報道を批判する「言論の自由」はある。

詳しいことは、上記ブログを見ると良いと思うが、端的に言うなら、言論の自由はある、しかし発言したことには責任が伴うのであり、その責任とは、批判にさらされることも当然含まれるということだ。

もちろん言論行為にせよ、これに対する批判にせよ、限度はあるのであり、行き過ぎた場合は誹謗中傷となり、脅迫、強要ともなり、またヘイトスピーチというべき領域にも至る。誹謗中傷、脅迫、強要の類は言論の自由の範疇を超え、刑事的にも民事的にもサンクションの対象となる。
政治的にも、そのようなものまで言論の自由があるかと放置するのは、黙認したに等しい。正しい態度は、最近のスコットランド自治政府首相のヘイトスピーチ一掃宣言だ。→ブレイディみかこさんの紹介記事より

「政治的な反論は、それが情熱的で揺るぎなく、オープンで、正直で、相手へのリスペクトをもって展開されていれば歓迎します。たとえその意見が、私なら使わないだろうと思う言葉を使って説明されていたとしても構いません。それが言論の自由というものの本質だからです。(中略)しかしながら、私たちの政治ディベートのレベルを、暴力的な脅しやミソジニー、ホモフォビア、性差別、レイシズム、障害者差別などの低みにまで下げることは是認できません」

さて、沖縄の新聞は偏向しているからぶっつぶせと語る百田氏の言動、それに加えて経団連からスポンサーに圧力を掛けて潰してしまえと語る自民党議員たちの発言は、許容できるものなのか、そうでないのか?

これは言論の自由の範疇内だとしても、許容できないとして批判する評価は可能である。

加えて、新聞のようなメディアに対して、その内容を批判するのではなく、その経済基盤を攻撃することによって、意に沿わないものを排除しようという発想は、果たして言論の自由と両立するのか?
これは、言論の自由の内包する矛盾であり、民主主義を否定する政治勢力を民主主義は許容するのかというのと同根の問題だ。

ナチス・ドイツを経験したヨーロッパは、闘う民主主義としてこのような矛盾の余地を認めない態度をとっていると大雑把に言うことができようが、日本ではそうした段階にはまだ至っていない。

ということで、現代日本の政権与党に属する40人もの議員たちが、気に入らない論調の新聞に対して、スポンサーに圧力をかけて潰してしまえという発言を自ら発し、あるいはそれに反対もしないでいたということは、民主主義や言論表現の自由の歴史にとって注目すべきエピソードということができる。

もちろんこうした事件は今回に限ったことではなく、昨年まで吹き荒れていた反朝日新聞の嵐、それから韓流ドラマを流しすぎるといってネトウヨどもに攻撃されていたTV局の事例、ずっと遡れば沖縄密約事件を暴いた毎日新聞に対する世間の反応など、小さいものも入れれば事例は豊富にあるし、政治ではなく資本によるメディア支配の問題も見過ごせないのだが、ともあれ、注目に値するエピソードには違いない。

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