pub:自由と正義2015-5月号に坂東先生が「消費者のための集団裁判」の書評を掲載
ホクネット監修、町村著『消費者のための集団裁判~消費者裁判手続特例法の使い方』の書評を、坂東俊矢先生が自由と正義に書いてくださった。
自由と正義とは言うまでもなく日弁連の機関誌だが、坂東先生には過分なご紹介とご評価を頂き、感謝に耐えない。
日本と同じようなシステムの手続を同じような時期に立法したフランスでは、既に4件ほどの集団的消費者被害回復訴訟が提起されている。もっとも、当初から予想されていたように、事業者側の落ち度が個別訴訟などで認められているケースで、事業者が全面的な被害回復に応じないという場合がほとんどという印象がある。
新たな問題について、この訴訟制度が機能するのかどうかは、フランスでもまだ未知数というところであろう。
翻って日本では、訴えを提起されただけで重大な損害が生じるという前提(被告にされるなんて犯罪者扱いするのかと怒るレベル)で、物事を考えるのが習い性となっているようで、いわゆる有識者の議論でも、そのような姿勢が見え隠れする。正面切ってそうい認めはしなくとも、結論としてそういう前提に立った議論になる。
およそ近代社会とはいえないようなこの「被告にされた=犯罪者扱いするのか」的訴訟観を、被害回復をしたくないという経済的インセンティブをもつ事業者側が振り回すのは、ある意味で合理的で、戦略的には当然かもしれない。しかし、中立的な法律家までもが、「被告にされた=犯罪者扱いするのか」的訴訟観に屈するのは、誠に残念な話である。
日本の刑事裁判は中世並みだという外国人の評価があるが、民事裁判に対する評価も、およそ近代社会とはいえないような感覚にとらわれないようにしたいものである。
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