social:生活保護の不正受給が増大
働いて得た収入を申告しないなど、生活保護の不正受給が明らかになった件数は昨年度、全国で4万3000件余りに上り、これまでで最も多くなったことが厚生労働省のまとめで分かりました。
この見出しとリードを読んだら、どのように感じるであろうか?
なんと、悪質な生活保護受給者、あるいは詐欺的な手段で税金で食ってる奴らが増えているらしい、と思うのではないだろうか?
確かにそう思っても無理ないと思うが、この中だけでも「不正受給が明らかになった件数」というあたりに注目して、オヤオヤと考える必要がある。
本文を読むともっと見出しから受ける印象とは異なるニュースであることが分かる。
厚生労働省によりますと、昨年度、明らかになった生活保護の不正受給は、全国で4万3230件で、前の年度より1300件余り増えて、これまでで最も多くなりました。不正受給の総額は、生活保護費全体(3兆6990億円)のおよそ0.5%に当たる186億9000万円余りで、前の年度より3億6000万円余り少なくなりました。 不正受給の内容は、▽働いて得た収入を全く申告しないケースが全体の46%を占め、次いで▽年金を申告しないケースが21%、▽働いて得た収入を少なく申告するケースが11%などとなっています。また、▽生活保護を停止したり、廃止したりしたのは1万1000件余りと前の年度より1200件余り増加し、▽自治体から警察に告発などを行ったケースも106件ありました。
要するに、増えたとされている不正受給の件数というのは、それが判明した件数であり、実際に不正受給がされた件数が増えているとは必ずしもいえないのである。
そして、金額的にはむしろ不正受給は減少しているとさえいえるのである。もちろんここも判明した限りの話だが。
さらに、詐欺的な不正受給がこんなにあるという印象を受けるのだが、警察に告発するに至ったほど悪質なケースは、ごくわずか、100件余りにすぎないのだ。
判明した件数が増えた原因について、厚労省のコメントが象徴的だ。
厚生労働省は「自治体が受給者の収入や年金を入念に調査した結果、不正受給が発覚するケースが増えたのではないか」としています。
つまり、不正受給の件数自体が増加しているとは思っていない、むしろ自治体が調査を熱心にやることによって暴かれたケースが増えたにすぎないと思っているわけである。
そういうわけで、見出しと最初のところだけ読んで「生活保護の不正受給が増えている、ケシカラーン」と思っちゃった人は、情報リテラシーというかメディアリテラシーというか、その辺りを少し自省してみてはいかがであろうか?
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