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2015/03/19

愛国ポルノの解毒剤:外国人被災者のリアルなopinion

最近良く見る「日本人はエラい、日本は素晴らしい国だ」「日本は財布を落としても中身付きで戻ってくる国だ」「大規模災害に際しても暴動もドロボーもおらず、秩序正しく大人しく対処できる素晴らしい国民だ」という言説、その一部は感覚的にそうかなとも思うわけだが、他方で日本だけが特別な国だと繰り返されると、眉に唾をつけたくなる。

こうした言説をことさらに振りまくものを、誰かが愛国ポルノと名づけていた。要するに日本人エラいと言われて気持ちよくなる、そういう素材に耽ってしまうということだ。

私に言わせると、愛国オナニーといった方が実態に見合ってると思うが、ちょっと言葉がどぎつ過ぎるきらいがあるので、愛国ポルノという言い方に乗っかっている。

その、愛国ポルノに耽ってしまう人には、ある種の解毒剤として効きそうな記事が、外国人被災者のリアルな感想を書いた記事である。

「人は簡単に『忘れてはいけない』という。でもね......」外国人歴史家が体験した3.11

これはライターの伊藤大地さんが宮城学院女子大学のJ・F・モリス教授にインタビューした記録である。

その中に、次のような一節があった。

避難所の中で日本人がとても行儀よく、慌てず、パニック起こさず、と言われましたが、アメリカを直撃したハリケーン・カトリーナの後に運動場に集まった人たちも同じでした。被災後に多くの人たちは実は非常に秩序正しく行動するというのが災害研究の常識です。じゃあ、そういう社会規律が崩れる条件はなんだろうか。極限状態だったならば、みんな立派にしていただろうか?

実際には、盗難、略奪、いろいろあったんです。避難所の中で子供の泣き声が気になって、お年寄りが刃物を振り回したとか。私も覚えています。避難所に入ったときの、ものすごい緊張感。もう、爆発寸前の火山です。そんな、清き正しき律儀な日本人、なんて状況じゃない。ギリギリのところで規律を保っていたんです。

外国人に関して言えば、尖閣諸島と竹島問題とかが、あの時点で今の状況になっていたら、どうなったものか。実際、当時だってデマがTwitterで流布していました。仙台でも摩擦が生じたけど、爆発点に達する前に解消されて大事に至らなかったことがあった。だから、日本人の気質とか、自分にとって都合のいいものを繋いで美化しても意味がないと思います。

実際、アメリカでのニュース映像を見て、日本人はハリケーンに襲われたアメリカ人が大半暴徒化し商店を襲ったと思い込んでいるけれども、そんなのは針小棒大かもしれないという冷静な目を忘れてはならない。
逆に日本の放射能汚染状況を海外からどう見られているかということに思いを致せば、メディアが伝えるのはセンセーショナルな部分だけ、それがすべてと思い込むのは実にナイーブ(素朴・愚鈍)に過ぎるのである。

もちろんそうはいっても、日本人は特に西洋人に比べて、総じて大人しいし体制順応的で、悪く出れば長いものに巻かれろ・同調圧力・出る杭は打つ、という行動様式に出やすい。それも西洋人だって多かれ少なかれあるわけだけど、少なくともデモやストに対する許容度は大きく違うと思うし、それは国民性というか、歴史的にも培われた基本的な発想の違いに根ざしているではないか。

ということで、この歴史学者さんの言うことには異を唱えるつもりもないし、実際愛国ポルノに耽る前に外国と日本の違いを絶対視しないためにはこの記事を読む価値があるとは思うのだけど、全面的に同じかといえば、いやいやそうではないという留保が必要だ。

追記:思考停止せずに、もうちょっと考えろよという記事も。
日本文学研究者のキャンベル氏 乱発する日本人礼賛本を「思考停止」と一蹴 - ライブドアニュース

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