consumer:適格消費者団体を知っていますか?
昨日の会合で話題となり、また講演会では統計を示されたのだが、適格消費者団体という存在を知っている人はどれほどいるのだろうか?
残念ながらニフティのアンケートシステムはサービスを終了してしまったようで、このブログでこれまで行ってきたアンケート利用のページがすべてみっともないリンク切れとなっているのだが、ということで無料のアンケートサービスを使う気にはならないのだが、読者の皆さんは以下の選択肢の中からどれを選ぶだろうか?
2006年に消費者全体の利益擁護のために裁判所において差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体は内閣総理大臣によって認定を受けることができる「適格消費者団体」制度が設けられ、現在、こうした団体により、4件の訴訟が提起されています。あなたは適格消費者団体を知っていましたか。次の中から1つだけ○をつけてお答えください。1. 名前も内容もよく知っていた。
2. 名前も内容もなんとなく知っていた。
3. 名前だけ知っていた。
4. 全く知らなかった。
筑波大学の高橋先生(元内閣府国民生活局の高橋さんと言った方が個人的には通りが良いが)の講演資料によれば(認定消費者団体となっているのは単なる誤記だと理解して)、上記のようなアンケートからは極めて悲しい数字が出てくる。
2008年段階の調査と2011年段階の調査の結果が報告されていたが、なんと認知度は落ち込んでいるのである。
1. 名前も内容もよく知っていた。2.4%→1.9%2. 名前も内容もなんとなく知っていた。8.5%→5.8%
3. 名前だけ知っていた。16.4%→14.4%
4. 全く知らなかった。72.8%→77.9%
ちょっとでも知っている人の数は減少し、全く知らなかったという人の数がいよいよ増えている。
適格消費者団体の認知度がこのようなものだとすると、その適格消費者団体からさらに要件をしぼって集団的消費者被害の回復訴訟を提起できる特定適格消費者団体ができたとしても、その認知度はさらに絶望的となろうか。
問題は適格消費者団体の存在にとどまらず、不当表示や不当条項などを使用した取引の差止めを求める訴訟や、さらには集団的な消費者被害回復の訴訟の存在も、同様に絶望的な認知度であろうし、期待も極めて低いに違いない。
そして何をしているのか知られておらず、当然期待もされていない存在に、一般の人たちの多くが寄付をして活動を支えるということなど全く考えられないであろう。
このように考えると、様々にやらなければならないことが山積している中で、知名度をアップさせるための活動というのも重要だと、認識を新たにした。
ちなみに、消費者庁はそれなりに頑張って広報につとめている。
例えば、南沢奈央さんをイメージキャラクターにした広報ビデオを作成して公開している。
ただ、難を言えば、一生懸命探してようやく見つかる奥地に置いておくのではなくて、各種のサイトやSNSにも公開して見てもらう努力をすべきだし、埋め込みタグを設定するなりデータを公開するなりして転載フリーにして、見てもらう範囲を広げていく努力をすべきだとは思う。それに長いし。
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