LSで共通到達度試験の実施が動き出している
ロースクール=法科大学院の先生たちが嫌がっていた、いわゆる共通到達度試験が、プレテストかプレプレテスト実施の段階にまで至っているようだ。
共通到達度確認試験システムの構築に関する調査検討会議(第1回)
この中の資料3-2によれば、試行試験の準備状況は概ね以下の様な体制となっている。
実施主体:文部科学省の委託事業を受託した東京大学を中核に、京都大学及 び一橋大学の参画を得て、試行試験を実施
試験実施の予定:平成27年3月中旬を目途
え、平成27年って今年、つまり来月!
試験科目
「憲法」「民法」及び「刑法」の3科目を対象に実施予定。
マークシート方式(全て短答式)により実施予定。
憲法及び刑法については各30問、民法については45問程度を予定。
対象校
上記3大学とともに、参加希望の法科大学院を加えて実施予定。 法学未修者1年次生を対象。
とのことである。
これに続く基本設計のページでは、この試験の成績により各法科大学院での進級のバーを強制的に課すというものではなく、大学としても学生としても、あくまで参考にするものという位置づけのようである。
○ 教育課程で学修した内容に関し、その進級時に学生の到達度等を確認し、その後の学修・進路指導や進級判定等に活用、○ 学生が全国規模の比較の中で自らの学修到達度を把握することを通じ、その後の学修の進め方の判断材料として活用
しかしながら、その柱書においては、「法科大学院が共通して客観的かつ厳格に進級判定を行う仕組み」だとされているので、上記の「活用」が不十分と文科省の方で判断したならば、補助金が減ったり、認証評価に大きなマイナスが付いたりするのかもしれない。
本試験の案は以下の様なもので、単に未修から既修への進級バーというだけではないようだ。
その他の科目に、下3法ならぬ4法が並んでいるが、一方では司法試験の短答式を廃止しておきながら、他方ではこちらで短答式を創設するのかと思わないでもない。
また、こういった短答式による知識の確認が行われるのであれば、司法試験の短答式、そして予備試験の短答式との関係も微妙で、色々考える可能性はあるが、整理統合は難しいとすれば、ますます試験が増える一方となる。
でも上記のように、実現に向けて実際に動き出したということができるので、早ければ来年、遅くとも何年か先には、ロースクールに導入されることであろう。
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