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2015/02/18

law:プロバイダの責任を制限する、プロ責法以外の法令

全く迷惑な法律の作り方だが、プロバイダの責任を制限するための法律として通称プロバイダ責任制限法(略称・プロ責法)が存在するのに、それとは全く違う、それも刑罰法規の中に、プロバイダの民事責任を制限する法規定がおかれていた。

私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律、いわゆるリベンジポルノ防止法だ。
この法律は、プライベートに撮影して、第三者に公開することを承諾していない性的な写真・動画を、不特定または多数人に公開することを禁止し、刑罰を科している。

しかしながら、この法律の目的規定(1条)によれば、プロバイダ責任の制限と、被害者の支援体制も講じるという幅広い目的を掲げており、とても全6か条の小さな法令とは思えない広がりを持っている。

そして、この法律の第4条にはリベンジポルノを削除したプロバイダの、責任制限を目的とする規定になっている。

これは元々プロバイダ責任制限法に規定があるのだから、通常なら同法の一部を改正する規定とすべきところであり、例えばネット選挙を解禁する法律ができたときは、プロ責法3条の次に3条の2を追加して、公職の候補者が誹謗中傷された場合には迅速に削除できる規定を設けた。

ところが、リベンジポルノ防止法4条は、以下のようになっている。

(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の特例) 

第四条  特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、特定電気通信役務提供者(同法第二条第三号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。以下この条において同じ。)は、特定電気通信(同条第一号に規定する特定電気通信をいう。以下この条において同じ。)による情報の送信を防止する措置を講じた場合において、当該措置により送信を防止された情報の発信者(同条第四号に規定する発信者をいう。以下この条において同じ。)に生じた損害については、当該措置が当該情報の不特定の者に対する送信を防止するために必要な限度において行われたものである場合であって、次の各号のいずれにも該当するときは、賠償の責めに任じない。

一  特定電気通信による情報であって私事性的画像記録に係るものの流通によって自己の名誉又は私生活の平穏(以下この号において「名誉等」という。)を侵害されたとする者(撮影対象者(当該撮影対象者が死亡している場合にあっては、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹)に限る。)から、当該名誉等を侵害したとする情報(以下この号及び次号において「私事性的画像侵害情報」という。)、名誉等が侵害された旨、名誉等が侵害されたとする理由及び当該私事性的画像侵害情報が私事性的画像記録に係るものである旨(次号において「私事性的画像侵害情報等」という。)を示して当該特定電気通信役務提供者に対し私事性的画像侵害情報の送信を防止する措置(以下「私事性的画像侵害情報送信防止措置」という。)を講ずるよう申出があったとき。

二  当該特定電気通信役務提供者が、当該私事性的画像侵害情報の発信者に対し当該私事性的画像侵害情報等を示して当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意するかどうかを照会したとき。

三  当該発信者が当該照会を受けた日から二日を経過しても当該発信者から当該私事性的画像侵害情報送信防止措置を講ずることに同意しない旨の申出がなかったとき。

長くて読むのは嫌になるだろうが、冒頭部分に「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律第三条第二項及び第三条の二第一号の場合のほか、」とあるので、プロ責法第3条の3として丸々追加挿入することが考えられる。
そのようにすれば、プロ責法の内容に反映されるから、プロバイダ責任はこの場合にも制限されるのだなと一目で分かる。
しかし、リベンジポルノ防止法の中に、プロバイダ責任の制限規定を置いただけでは、その存在をあらかじめ知っている人以外は、プロバイダ責任制限法にたどり着いたとしても、リベンジポルノの場合の特則があることは分からないのである。

今の時代は検索をすれば、ある程度は参照すべき他の法令も拾えるだろうし、また紙媒体の六法には伝統的に参照条文がつけられているので、六法編集者に期待ということもある。
しかし、わざわざ別の単行法にプロバイダ責任の制限規定を潜り込ませておくことはないではないか。

リベンジポルノの禁止を独立して設ける法令の中に他の法令の一部を改正する規定を混在させることが嫌がったとというのも理由にはならない。法律の本来の目的を主要部分として、関連する他の法令の改正規定を付けるというのは、ごく普通の立法技術である。

法令の作り方の基本的な考え方に関わるもので、立法に携わる皆さんにはぜひ考慮していただきたい点である。

なお、逆にリベンジポルノの関係法令を一覧したいという人には、この法律の中に入っている方が良いという意見もありそうだが、上記の通り目的規定の中にプロ責法の特例を設けることを明示しているのであるから、プロ責法の方に特則をおいてもたどり着ける。

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