page 3:ヌード写真の新聞掲載
イギリスの代表的な大衆紙サンが、第3面に載せていたヌード写真をやめるということで話題となっている。
サンの第3面の公式ウェブページまでもある名物ページで、page 3というのは固有名詞的にもなっているらしい。
3が日本語で「サン」と発音するのは面白い偶然だ。
このPage 3 に対する反対運動の中心にいたのが、この写真の人で、イギリスの緑の党のリーダーだ。
これについて、毎日新聞の新聞のヌード写真:英大衆紙に女性が反対活動という記事は結構面白い。最後には京大の曽我部先生のコメントも有り、勉強になる。
日本では、ヘアヌードを売り物にしていた週刊誌が軌を一にして掲載しなくなったという経緯が随分前にあったし、その時の議論を少し想い出す。
またその時代、スポーツ新聞といえばヌード写真を中心とする性風俗の報道が売り物の一つだったが、これまた沈静化したように思う。必ずしも現物をよく見たわけではないので、正確には分からないが、少なくとも電車内でヌード写真をカラーででかでかと表出したページを見かけることはなくなった。
イギリス大衆紙のヌード写真掲載取りやめと日本のかつての経緯とが同じかどうかははっきりしないが、共通した問題であることは間違いない。
そして、この問題がわいせつ表現規制の問題と微妙に絡んでくるので、色々と難しい。ただし、わいせつ物とみなされて法的に禁止されたわけではないので、その問題とは一応区別して考える必要がある。
考慮ポイントを上げるなら、以下のとおり。
・表現の自由ないし編集の自由
・私企業である民間新聞社の経営の自由
・性の商品化問題
・性的情報氾濫の弊害
・白人女性・痩身・巨乳というステレオタイプ問題
立場によりそれぞれの論点をどれほど重く捉えるかも異なってくるので、意見の一致を見ることも困難な、ディベート課題としては興味深い素材だ。
しかし、現実がここに来て動いた原因は、なんといっても第二点の経営の自由の観点、売れるんだからしょうがないでしょ、という問題について、ネットによる性的情報氾濫とか、ヌード写真をおおっぴらに見ることへの後ろめたさの浸透とか、社会的な条件が変化することにより、経営的にもヌード写真掲載が有利とは必ずしも言えない状況になってきた点にあるのではないか。
そうだとすれば、大衆紙といえども、悪評を被ってまでヌード写真を載せ続ける意味もないわけで。
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