nuk:原発廃炉費用の負担者は誰が正当?
報道によると、原発の廃炉費用を全利用者から徴収する方向の報告書案が出されたという。
原発の廃炉会計制度見直しに関する経済産業省の有識者会議は14日、報告書案をまとめ、2016年の電力小売り全面自由化後も、原発の廃炉費用を電気料金に転嫁することを決めた。14年度内に関連省令を改正する方針。原則として全ての利用者が負担する方向となる。全利用者に負担を求めることには反対意見もあったことから、例外規定を設けるなどの詳細は今後検討する。大手電力が抱える老朽原発の廃炉を円滑に進めるため、費用を確実に回収する。利用者は原発に頼らない新規参入事業者から電力を購入しても、負担を迫られることが想定される。
これはもう不正義の極みといってもよい。
原発の電力に対するコストは安い安いと散々言っておきながら、原発のコストの一部である廃炉費用を原発以外の電力利用者にも負担させるというのでは、「安い」というのは完全なウソだということになる。
それも、福島第一原発の事故処理費用のように、想定されない費用というわけではない。廃炉費用というのは原発を作った時から必要になることが分かっている費用だ。もちろんいくら掛かるかは「分からなかった」というかもしれないが、それは原発のコストに入れない理由にはならない。
本来負担すべき者は、原発由来の電力を購入した利用者であるはずで、もし予想以上にかかるということが判明したのなら、過去にさかのぼって負担を求めても良いくらいだ。さすがにそれは酷いというかもしれないが、だからといって原発由来の電力を購入していない利用者に請求することを正当化する理由は全くないのである。
このようなことなら、廃炉にかかる費用にかぎらず、同じく将来に渡ってかかる費用で、ちゃんとコストに入れているはずの使用済み核燃料処理費用だって怪しいものだ。
まだ処理をしていないが故に、そのコストが顕在化していないだけで、いずれ暫定的にでも使用済み核燃料の処理を始めれば、そのコストは「私企業が負担できる限度を超えている」とか言っちゃって、原発に関係なく電力を作っている企業とその利用者にも負担を求めると言い出しそうだし、さらには税金で負担すると言い出しそうだ。
原発は、そのコスト負担では無間地獄であることが、上記の「有識者」会議の報告書案で表明されたというべきである。さすがは有識者という他はない。
廃炉費用、そして使用済み核燃料処理費用、将来にわたっていくら掛かるかはわからないだろうが、可能な限り最大限見積もったところを、現在の原発由来の電力生産量に応じて引当金を積み増すべきである。そうやって原発の正当なコストが払われて、なお原発が安いのであれば、仕方がない。危険には目をつぶって再稼働もあり得べき選択かもしれない。
しかし、原発に必要なコストを原発に関係のない電力利用者から徴収しておきながら、原発は安いエネルギーだとウソを言って再稼働を正当化するのは、いかにも人をバカにした所業であろう。
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