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2015/01/19

クレジットカードとNET取引の今後を考える中間とりまとめ

いわゆる産構審の商務流通情報分科会 割賦販売小委員会が、昨年暮れに「中間的な論点整理(PDF)」という控えめな表題の文書を公表している。

これには、ネット取引で詐欺の温床ともなっているクレジット取引、とりわけ海外の決済代行サービスを利用した詐欺業者や詐欺とまで言わないまでもトラブルの多い取引業者について、どう対処したらよいかという問題が検討されており、注目だ。

クレジットカード取引の従来の教科書的理解は三角関係の取引モデルだ。
すなわち消費者と加盟店との取引に立替払いや信用供与を行うクレジット会社が絡むという理解であった。

ところが現実には、オフアス取引(ノン・オンアスとも言っていた)と呼ばれる取引モデルが多くなっている。
すなわちカード発行会社(イシュアー)と加盟店契約会社(アクワイアラー)とが分離し、これに国際ブランドが入り、さらにアクワイアラーと加盟店との間に決済代行サービス会社(その一部としてPSPと表記される)が入るというモデルである。

Offass

従って、従来の法規制や法的概念が時代遅れのものとなっていた。
クレジット取引における悪質事業者の排除は、加盟店契約において加盟店の適正さを調査し、クレジットカード利用者と安全な取引ができる業者であることを確保することがキーポイントとなる。その加盟店管理義務がきちんと行われることが、クレジットカードを使えるお店の信用にもつながり、ひいてはカードのブランド価値にもプラスとなる。
しかし、アクワイアラーが海外事業者であったり、アクワイアラーと加盟店の間に決済代行業者が入って個々の加盟店の審査がしにくくなったり、さらにはイシュアー側もカード利用者からのクレーム処理を国際ブランド会社のルールに従って適切に処理できなかったりすると、予定していた消費者保護が達成できないということになる。

この中間的論点整理ではさらに、マンスリークリアの増大が不適正な取引に対する消費者保護を妨げているのではないかという問題意識も示されている。

そして番号情報漏洩の問題も取り上げられている。

今後の検討の方向性としては、アクワイアラーによる加盟店管理のあり方、決済代行についてはそもそも決済代行の実態と規制対象の整理から行わなければならず、さらに海外取引では規制対象とできる取引主体や実効性確保が課題だとされている。

マンスリークリアの問題への対処は、加盟店調査管理義務の適用に委ねている。

イシュアーによる苦情処理問題は、イシュアーからアクワイアラーへの通知対応に何らかの措置が必要とされているが、それ以上は難しいようだ。

クレジットカードの番号情報などの保護については、そもそも技術進歩に法規制が追いつけないという消極論も強いようだが、決済代行の類型整理を行うことも踏まえて、クレジットカード情報を保有する事業者に何らかの義務を課す方向が検討され、平成20年改正で導入された「立替払取次業者」の概念の拡張ないし変容も検討課題とされている。

その他、不正使用対策としての3D認証やセキュリティ確保のための取り組みは、実務の進展に期待するという。

以上の基本的な方向性は、概ね正しい方向を向いていると考えられるし、行政規制のあり方としては、これくらいなのかもしれない。
こうした行政規制に対して、適切な民事効を設定するのは、消費者契約法の役割というところであろうか?
あるいは、割賦販売法自身の中で不適切なクレジットカード取引に対する消費者の取消権などを導入することもありうるであろうか?
注目したい。

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