jugement:訴え提起を恥ずべき行為と非難したら名誉毀損?
読売新聞の記事によると、水戸地判平成27年1月22日読売新聞記事
アカデミックハラスメントを理由に茨城大を提訴したことを不当とする学長
所見が全教職員にメール送信され、名誉を傷つけられたとして、同大人文学部
の元教授2人が同大に計540万円の損害賠償を求めた訴訟
上記の記事文言が正しいとすれば、アカハラを受けたとして大学に損害賠償を請求したら、学長から全職員に電子メールで非難されたということであろう。
柴田裁判長は、「『恥ずべき行為』という文言は、訴訟した行為についての否定的評価であり、人身攻撃ではない」と判断した。
名誉毀損というのは、個別の文言だけ取り出してみても、それが社会的評価を傷つけるかどうか評価するのは困難だし、まして論評ということならなおさらだ。
この件でも、アカハラを訴えている原告らが、被害を学内で握りつぶされてやむなく訴訟に及んだのか、それとも難癖の類を訴訟にまで持ち込んだのかで、見える風景は全然違う。
ただ、訴訟法学者の立場からすると、よほどのシカーネ的訴訟でない限り、訴訟制度を利用したことを持って「恥ずべき行為」と呼ぶのは、その見識に疑いを禁じ得ないと思う。
| 固定リンク
「裁判例」カテゴリの記事
- Jugement:不法行為加害者である未成年者の母親の監督責任を認めない一方、被害者の兄に民法711条による請求を認めた事例(2025.04.21)
- UK最高裁によるトランスジェンダーと平等権(2025.04.17)
- Jugement:新型コロナの軽症者収容のためホテル借り上げを具体的に依頼しながら契約しなかった地方自治体に契約締結上の過失責任が認められた事例(2025.02.17)
- jugement:福岡小学校教諭の公務災害死について市の安全配慮義務違反が認められなかった事例(2025.02.07)
- Jugement:原発事故に関する東電取締役等の任務懈怠により東電に与えた損害の賠償を命じた株主代表訴訟(2025.01.31)
コメント