jegement:津波被害に教習所の責任を認める
先日予告した津波被害の責任追及訴訟の判決が報じられている。
追記:判決全文が裁判所サイトで公開された。
この訴訟と他の類例の状況についてはaction:13日に津波被害関連訴訟の判決を参照してもらいたい。
記事によれば、津波被害を巡って学校や勤務先など管理者の責任を問う訴訟は仙台、盛岡両地裁で少なくとも15件あり、1審判決は4件目とのことである。
高宮裁判長は、津波高さ予想を最大6メートルとした当初の大津波警報時点では、▽付近の防潮堤は高さ6.2メートルだった▽県の津波浸水予測の区域外だった--ことなどから、海から約750メートル離れた学校への津波襲来予測は困難だったと認定。そのうえで、その後に学校前の道路を走る消防車が避難を呼び掛けていたことを重視し、「速やかに教習生らを避難させることは十分可能だった」と判断した。また、教習生は近隣在住とは限らず、JR常磐線など公共交通機関も不通になっていたことから、「高台への自力避難は期待できなかった」と指摘。「安全配慮義務違反と教習生らの死亡には因果関係がある」と結論付けた。
追記:判決文のまとめ
被告E1学校は,その安全配慮義務の履行補助者である教官らが大津波警報(第1報)が発令されていることを知り,県道相馬亘理線を本件消防車が津波警報の伝令とともに避難を呼び掛けて広報していたことを知っていたのであるから,これら情報を総合してG教習所に津波が襲来する危険性を予見し,速やかに教習生らを避難させるべき義務があったのにこれを怠り,本件教習生らの死亡という結果を生じさせたのであって,本件教習生らが死亡したことにつき,債務不履行に基づく損害賠償責任を負う。
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