book:田中成明『現代裁判を考える』
今年読んだ4冊目は法哲学者の講演録をベースとした民事裁判と正義論に関する本だ。
田中先生のこのジャンルの本は、たくさんあって、目につくところだけでも公正としての正義 再説とか、現代社会と裁判―民事訴訟の位置と役割 (法哲学叢書)
とか、古くは裁判をめぐる法と政治 (1979年)
とか、おなじみである。
本書の新しさは、単に裁判官向けの講演を再録したというだけではなく、近時の民訴法学の発展、例えば山本和彦先生の審理契約論と加藤新太郎判事の手続裁量論とのやりとりを取り上げて、これを田中先生の正義論の見地から評価したり、いわゆる手続保障の第三の波を改めて現代正義論の到達点から総括したり、といった現在時点からの考察を繰り広げているところにある。
また、正義論の鳥瞰図を提供してくれているところも、不勉強な門外漢にはありがたいところである。
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