consumer:債権回収を業とする探偵は非弁か詐欺
以下に報じられているのは、詐欺のケースだった。
だいたい見出しが、「無許可は違法なのに」とあるが、意味がよく分からない。弁護士でない者でサービサーでもない者は、そもそも債権回収の許可などない。記事を見ると、サービサーとしての許可を得ていないことを指しているものと思われるが、サービサーの要件はかなり厳格で、探偵会社が申請すれば得られるシロモノではない。
→サービサー法
「借用書のない債権でも回収できる」。滋賀県に住む四十代の会社員男性は、インターネットでこんなうたい文句の探偵業者を見つけ、電話した。「私たちはプロ」「相手の立ち回り先から責めれば回収できます」。業者の言葉を信じ、二回に分けて、約四十六万円を支払った。しかし、待てども待てども成果の報告はない。男性は警察に被害を届け出た。
警視庁は十~十一月、この男性らから債権回収名目で代金をだまし取った詐欺容疑で、「セイシン」(東京都新宿区)などの名称で探偵業を経営する男ら七人を逮捕した。探偵業務に絡む詐欺事件の摘発は、警視庁では初めてだった。
このケースは詐欺であったが、詐欺ではなくて本当に取り立てるところだったら、依頼者は弁護士法違反、サービサー法違反の片棒をかつぐところであった。
一方では、弁護士が増えすぎて、生活も成り立たないくらい弁護士費用が低廉化していると言われているのに、この種の違法取立業者に46万円も払うケースが後を絶たないどころか、増大しているというのはどうも納得がいかない。
インターネットで見つけたといっても、弁護士さんだってネット広告は盛んに行われているのである。
少額すぎて弁護士さんに頼めないという場合は確かにあるが、司法書士の助力ないし代理を得てという手もある。それに数万円の債権とかでは、詐欺業者にカネを払うこともそもそもしないであろう。
これに対して別れさせ屋とか復讐屋とかは、そもそも弁護士の職務ではないので、その手の業者に頼むしかなく、結果、騙されたり、違法行為の片棒を担いだりすることになるのは分かる(もちろん良いといっているわけではない)が、債権回収を今どき非弁に依頼するというのは、依頼人自身が後ろ暗くて闇の方法でしか債権回収できない場合を除くと、全く理解できないのである。
そんなに弁護士というのは信用ならない、頼りにならない存在と思われているのであろうか?
なお、サービサー法というのはバブル崩壊後の不良債権処理に緊急に必要であるため設けられた「特別措置法」である。「特定金銭債権の処理が喫緊の課題となっている状況」が解消されたら、そもそも不要な制度のようにも思えるのだが、一旦こういう存在を法定してしまうと、引き返すのは難しいという典型例となっている。また、監督行政の肥大化の一翼を担っているので、行政のスリム化が難しい一例でもある。
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