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2014/12/02

arret:直送の費用は訴訟費用にあらず(追記あり)

最決平成26年11月27日PDF決定全文

最高裁は、当事者間で書類の直送をした場合に要した郵送費用を、民訴費用法上の訴訟費用とは認めないという決定をした。

費用法2条2号は,裁判所が民事訴訟等における手続上の行為をするために行う必要な支出について,当事者等に予納義務を負わせるとともに,その支出に相当する金額を費用とすることにより,費用の範囲及び額の明確化を図ったものである。

これに対し,当事者が準備書面の直送をするために行う支出は,裁判所が何らかの手続上の行為を追行することに伴うものではなく,当事者が予納義務を負担するものでもない。そして,当事者が行う支出については,費用法2条4号ないし10号が,費用となるべきものを個別に定型的,画一的に定めているところ,直送は,多様な方法によることが可能であって,定型的な支出が想定されるものではない。直送をするためにした支出が費用に当たるとすると,相手方当事者にとって訴訟費用額の予測が困難となり,相当とはいえない。

 したがって,当事者が準備書面の直送をするためにした支出については,費用法2条2号の規定は類推適用されないと解するのが相当である。

このことはまあ順当な判断であろうが、書類を当事者間で直送する場合について、上記判旨部分は「直送は,多様な方法によることが可能」と述べているところが引っかかった。

民訴規則の直送の規定は、47条にある。

第四十七条 直送(当事者の相手方に対する直接の送付をいう。以下同じ。)その他の送付は、送付すべき書類の写しの交付又はその書類のファクシミリを利用しての送信によってする。

ここでFAXでやれと書いてあるものだから、未だに裁判所と弁護士事務所はFAXで情報のやりとりをする状態にある。
しかし、書類の写しの交付でもよいのであるから、FAX利用は必須ではない。まして、最高裁が「直送は,多様な方法によることが可能」というのであるから、いっその事、電子メールでやってみてはどうか?
電子メールは物を物理的に送るものではないが、紙媒体文書をデジタルデータにし、これを相手方当事者のプリンタによって複製するのであるから、「写しの交付」と言えなくもない。またそのプロセスはFAXと同様である。

というわけで、まずは弁護士さん同士で書類の電子メール直送をやってみてはどうか。
中には裁判官も自分勝手にe-filingを始めて、つまり当事者に電子メール添付での書類提出を依頼している人もあるやに聞くが、これもどんどんやればよろしい。
根拠条文は同じ民訴規則の3条の2がある。電磁的方法を「裁判所が定める」必要があるのだが、これを訴訟法上の「裁判所」と読み替えて、つまりは係属する部の裁判官またはその合議体が定めた方法で添付ファイルでの提出をさせてはいかがであろうか?

第三条の二 裁判所は、判決書の作成に用いる場合その他必要があると認める場合において、当事者が裁判所に提出した書面又は提出しようとする書面に記載した情報の内容を記録した電磁的記録(略)を有しているときは、その当事者に対し、当該電磁的記録に記録された情報を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)であって裁判所の定めるものにより裁判所に提供すること を求めることができる。

ま、ちょっと平文の電子メールで送るというのは憚られるわけだが、市販の暗号化ツールの利用で十分漏洩リスクはカバーできるのではなかろうか?

追記:FB友達の札幌の弁護士さんが条解民訴規則を確認して以下の様な情報を教えてくれた。

「「裁判所が定めるもの」としたのは,受訴裁判所又は当事者が利用することができる電磁的方法は…,裁判所又は当事者の状況等によって異なる……」

本条は「提出を求める対象を磁気ディスク等の記録媒体に限定していない点で旧規則167条と異なっている」
「本条により,準備書面に記載すべき情報をフレキシブルディスク等で裁判所に提出したとしても……」

すると、受訴裁判所が定めれば、少なくともFAX利用可能な文書についての電子的提出は可能だし、電磁的方法は必ずしもメール等のオンラインには限られないという事になりそうである。
せめて暗号ツールを利用して、e-filingの疑似体験をしてみてはいかがか?

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