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2014/11/18

univ.北大交流デーで東南大学と南京師範大学を回る

南京にはいくつも大学があるが、その多くは郊外に大キャンパスを構えて、市内には古くからあるキャンパスを残している。
東南大学の郊外キャンパスは、見渡す限り大学といった風情の、巨大なものだった。
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写真は集合記念写真を撮った体育館前だが、これだけでも巨大さがしのばれる。
ここでは、交流デー全体の挨拶の部である午前中のみ参加し、昼食後、南京師範大学の、やはり郊外キャンパスに向かった。

このキャンパスは2009年に訪れた時に来たはずなのだが、人間の記憶はうつろなもので、全く覚えていない。確かあのときは先生方が研究室を移転されたばかりだったはずだが。

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さて、研究会は実に興味深いものであった。
南京師範大学からは三人の大学院生が報告に立ち、北大側からは張子弦さんが報告をした。
南師大の院生陶澎さんは、日本で半年間の特別聴講学生の経験があるので、日本語で、中国と日本の刑事補償・刑事賠償について報告された。
中国でも最近刑事訴訟の冤罪事件に関して、誤った捜査・起訴・裁判をした機関が賠償責任を負うという法律ができたというのだが、日本のような刑事補償制度というわけではなく、あくまで違法な捜査等により被害を受けた者の償いを、その違法な捜査等をした機関がしなければならないという制度であった。
日本との違いはなかなか興味深い。

南師大の院生陶晟磊さんの報告は、株式の相互保有、すなわち持ち合いの問題で、その法規制というテーマなのだが、他の会社の株式を別の会社が保有する現象全般について取り上げて相互保有と言っているところがあり、日本語で聞く限りやや焦点が絞られていない印象であった。

これに対して南師大の院楊璐璐さんの報告は、凍結杯の財産的性格というもので、中国の興味深い一つの事件を題材にしている。
これは、凍結受精卵を病院に管理させていた夫婦が交通事故で死亡した。そこで夫婦それぞれの両親が管理処置権の存在と病院に対して廃棄するなという請求、そして他の病院に移送せよとの判決を求めて提訴した。実はその移送先の病院で、代理母出産契約が結ばれていたのだが、中国では代理母が一般的には違法とされている。
 この訴訟の当事者は夫の両親が原告、妻の両親が被告、病院は被告参加人とされていたが、真の争いは病院と両方の両親。というのも病院は夫婦の生前に、凍結胚を一年たったら廃棄するとの契約を締結しており、その廃棄をするなと両方の両親が求めたのが紛争の内容であった。
 訴訟で当事者は、夫婦の死亡により凍結胚は自分たちが相続したから管理権があるというものだったが、第一審は凍結胚は相続の対象とならないとして請求を棄却した。これに対して控訴審は取消自判し、相続するかどうかには触れずに、また凍結胚の法的性質も示さないまま、管理権が両親にあるとして凍結胚の廃棄を禁止する判決を下したという。
 これについて報告した楊さんは、凍結胚も物、すなわち財産権の客体として処理すべきだったということなのだが、コメントをした趙莉先生は、物としての性質以前に、凍結胚を管理すべき契約上の地位が両親に相続により帰属するとして、契約的処理をすればよかったという見解であった。

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終了後の宴会でも、2009年とは打って変わって白酒なしの宴会であったが、カニをごちそうになり、また上記の凍結胚の処理を巡っては民法の先生、民訴の先生と入り乱れて議論に花が咲いた。

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