裁判のnet公開in中国
中国は、色々と極端ではあるが、これもその一つだ。
中国で裁判傍聴をしようと思っても、簡単ではなかった。法律関係者や裁判官のツテを頼って傍聴させてもらったことがあるが、そのような事前の申込みがないと裁判所の建物を写真に収めること自体、問題があるということであった。
その中国で、広東省広州市の中級人民法院(地裁)が管内の裁判所の原則として全裁判をネット中継するというのであるから、これはまた一挙に進んだ。
サイトのURLはこちら=http://ts.gzcourt.org.cn
このブログを書いている現在は中国時間で朝早いので、中継画面があるはずもないが、中継されるとすればこんな風という画像が見られる。
また、中継だけでなく、動画も公開されているようで、適当に画面をクリックすると「販売毒品罪」という裁判が映しだされた。145分の動画で、なぜか裁判長席と被告人席は空席、陪席二名の裁判官と弁護人、検察官がやりとりしている。公判前整理手続に相当する手続であろうか。
最新案件というのをクリックすると、それは民事裁判らしき事件が多く並んでいた。
サムネイルに並ぶ中国語が、心の目で読んで事件の種類が想像できるものと、検討つかないものとがある。
承継糾紛とあるのは、おそらく相続紛争であろうか。交通事故は交通事故と書かれているし、合同というのはおそらく契約と読み替えると分かりやすい。
香港の仲裁裁定の執行を求める申請ではないかと思われるものもある。
残念ながら、最新案件のどれも、今日これからやる裁判なので、まだ動画は見られない。
日本では、こうした裁判の公開は、当然ながらプライバシーに対する侵害だとして批判が大きい。とりわけ弁護士を先頭に、とんでもないという意見が大勢を占めている。
これができるのは、さすがに西部劇的野蛮さが残るアメリカの訴訟現場と、上意下達の一党独裁国ならではという感じがする。悪口では必ずしも無い。
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コメント
この件、おかげ様で初めて知りました。ご紹介の広州法院のページ右下の方に、「友情链接」として他のライブ施行法院へのリンクがあり、山東はうまく見れませんでしたが、少なくとも河南のものは見れました。
投稿: 峰村健司 | 2014/09/28 12:03
ふと思ったんですが、国外への配信は突然中止されるかも知れませんね…
投稿: 峰村健司 | 2014/09/28 12:09